【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

海外にある不動産の相続税申告における評価方法

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方が海外に不動産をお持ちだった場合の、その相続税申告における評価方法について、お話します。


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財産評価基本通達は海外不動産の評価に使える?

国外にある財産でも、原則として、財産評価基本通達に定める評価方法により評価する

しかし、不動産については、基本的に、この通達の定めによって評価することができない

例えば、土地を路線価方式で評価しようとしても、海外の土地には路線価が設定されていない

倍率方式により評価しようとしても、固定資産評価基準に基づいて各市町村が個別に決める固定資産税評価額が付されていない(建物も同様)し、倍率も設定されていない

そこで、

  1. 財産評価基本通達に定める評価方法に「準じて」評価した金額
  2. 売買実例価額
  3. 精通者意見価格

等を参酌して評価する、としている

買った値段や売った値段を時点修正して使用する方法もある

財産評価基本通達の定めによって評価することができない財産については、課税上弊害がない限り、

  1. その財産の「取得価額」を基にその財産が所在する地域または国におけるその財産と同一種類の財産の一般的な価格動向に基づき時点修正して求めた価額
  2. 相続後にその財産を譲渡した場合における「譲渡価額」を基に死亡日現在の価額として算出した価額

により評価することができる

その評価しようとする土地建物の購入時、または、売却時の「購入金額」「売却金額」という、実際の具体的な金額をベースに計算する(後は、時点の違いを加味する)、というモノです。

想う相続税理士秘書

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時点修正については、この記事の一番最後をご参照ください。

【参考】国外財産調書における不動産評価

参考 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国外財産調書及び財産債務調書関係)の取扱いについて(法令解釈通達)国税庁

(一部抜粋加工)
見積価額の例示)
5-10
⑴ 規則別表第一(一)に掲げる財産(土地)
イ その財産に対して、外国又は外国の地方公共団体の定める法令により固定資産税に相当する租税が課される場合には、その年の 12 月 31 日が属する年中に課された当該租税の計算の基となる課税標準額
ロ その財産の取得価額を基にその取得後における価額の変動を合理的な方法によって見積もって算出した価額。
ハ その年の翌年1月1日から国外財産調書の提出期限までにその財産を譲渡した場合における譲渡価額。
⑵ 規則別表第一(二)に掲げる財産(建物)
イ ⑴イ、ロ又はハに掲げる価額。
その財産が業務の用に供する資産以外のものである場合には、その財産の取得価額から、その年の 12 月 31 日における経過年数に応ずる償却費の額を控除した金額。
(注) 「経過年数に応ずる償却費の額」は、その財産の取得又は建築の時からその年の 12 月 31 日までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は
1年とする。)の償却費の額の合計額とする。この場合における償却方法は、定額法(所得税法施行令第 120 条の2第1項第1号《減価償却資産の償却の方法》に規定する「定額法」をいう。)によるものとし、その耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令に規定する耐用年数による。

ここで、「見積価額」が出てきているのは、あくまでも、「国外財産調書を提出する方の事務負担等を軽減する観点から時価に準ずるものとして見積価額によることを認めることとしている」ためであることに、ご留意ください。

想う相続税理士秘書

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時点修正については、下記をご参照ください。
参考 国外財産調書制度(FAQ)国税庁

(注)具体的には、取得価額に合理的な価格変動率を乗じて、その年の12月31日における見積価額を算定します。この場合の合理的な価格変動率は、その国の統計機関(統計局、統計庁など)が公表する不動産に関する統計指標等を参考にして求めることができます。
なお、統計機関は、様々な統計指標をインターネット上に公開しており(国により掲載情報は異なります。)、日本の総務省統計局のホームページ上に、「外国政府の統計機関」として、様々な国の統計機関のホームページへのリンクが掲載されています。
http://www.stat.go.jp/info/link/5.html