【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

永代供養料は相続税の申告において債務控除できる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、永代供養料が相続税の「葬式費用」として控除できるのか、葬式費用の範囲と判断ポイントについて、お話します。

出典:TAINS(相続事例707690)(一部抜粋加工)
「資産税審理研修資料」(東京国税局課税第一部 資産課税課 資産評価官)


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永代供養料は「葬式費用」に該当する?

ホームズ。

相続の相談で、葬儀の折に寺へ納めた「永代供養料」を、相続税の計算で差し引けるかと尋ねられたのだが、私は咄嗟に答えが出なかった。

あれほど「弔い」に関わる支払いでありながら、税務の世界では別物扱いになることがあるのかね?

君の躊躇はもっともだ、ワトスン。

遺族の実感としては、葬儀も供養も一続きの出来事に見える。

しかし、相続税の計算は感情ではなく、性質の分類で動く。

東京国税局の資料に、実に分かりやすい事例がある。

被相続人(亡くなった方)の葬儀に際し、宗教法人へ葬儀費用とは別に永代供養料として300万円を支払った。

さて、この300万円が「被相続人に係る葬式費用」として債務控除できるか。

答えは、できない、だ。

できない、だって?

私はてっきり、亡くなった直後の支払いであれば、葬式費用の一部として認められる余地があるものと考えていた。

鍵は「葬式の費用か、追善供養の費用か」という峻別にある。

永代供養料は、死者を葬る儀式そのものに対する支出ではなく、遺骨の管理や供養を将来にわたり依頼する趣旨の金員だ。

つまり、葬式費用とは性格を異にする。

なるほど。

支払いの時期ではなく、支払いの目的と性格が問われるわけだ。

だが、実務では「お寺に払った」「ひとくくり」にされがちだ。

どこで線を引けばよいのだろう?

線引きの道具は、法令と通達だよ、ワトスン。

相続税法第13条第1項は、一定の債務や費用を課税価格から控除できると定め、その中に「被相続人に係る葬式費用」を掲げている。

そして、相続税法基本通達が「葬式費用の範囲」「葬式費用でないもの」を整理している。

ここを押さえれば迷いは大幅に減る。

つまり、永代供養料は「葬式そのものの費用」ではないから、相続税の計算で差し引けない。

この骨格をまず押さえ、次に通達の範囲で具体化する。

そういう理解でよいね?ホームズ。

その理解で十分だ。

相続税で控除できる「葬式費用」の範囲

ではホームズ、控除できる「葬式費用」とは具体的に何を指すのだろう?

遺族が支払う費用は、火葬、納骨、移送、式場、返礼など雑多で、現場では混乱しやすい。

整理して見せよう。

相続税法基本通達13-4は、葬式費用として控除する金額を、一定の範囲に限定している。

中核は、埋葬、火葬、納骨、遺体や遺骨の回送など、「葬送の手続」に直接結びつく費用だ。

さらに、葬式に際して施与した金品で、被相続人の職業や財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものも含まれ得る。

そして、葬式の前後に生じた出費で、通常葬式に伴うものと認められるものも範囲に入る。

「通常葬式に伴うもの」という言い回しが、いかにも実務的だね。

つまり、何でもかんでも入るわけではないが、葬式に当然付随すると言える支出なら拾える可能性がある。

そういう余地を残している、と。

その通り。

税務は、名目だけでなく、実質と社会通念で判断する局面がある。

ただし、余地があるからこそ、領収書の名目や支払目的の記録が重要になる。

曖昧なまま一括計上すれば、争点を自ら作ることになる。

では、逆の側。

控除できないものは、通達でどう整理されているのかね。

そこが分かれば、葬式費用の境界がもっと鮮明になるはずだ。

良い観察だ、ワトスン。

相続税法基本通達13-5には「葬式費用でないもの」が列挙されている。

これを知れば、線引きの感覚が手に入る。

控除の範囲は「葬送に直接結びつく費用」「通常付随する費用」

一方、通達13-5の列挙は、そこから外れる典型例。

この二つの対比で判断力を鍛えるわけだね。

まさにその通りだ。

控除できない費用と永代供養料が外れる決め手

さあホームズ、いよいよ核心だ。

「葬式費用でないもの」には何が挙げられている?

そして、永代供養料は、そのどこに位置づくのかね?

通達13-5は明快だ。

香典返戻費用、墓碑および墓地の買入費、墓地の借入料。

そして、法会に要する費用。

これらは葬式費用として取り扱わない、とされている。

法会、か。

四十九日や一周忌を思い浮かべるが、遺族の感覚では「弔いの続き」だ。

それが葬式費用ではないとは、意外に感じる人も多いだろうね。

感覚と制度のずれは、ここで起こりやすい。

国税局資料は、法会を「死者の追善供養のため営まれるもの」とし、「死者を葬る儀式である葬式」とは異なると述べている。

この区別が、そのまま永代供養料にも及ぶ。

永代供養も、追善供養の延長線上にある、というわけだね。

しかし、永代供養料は一度きりで支払うこともあり、葬儀と同日に支払うこともある。

それでもなお、葬式費用ではないと断じる根拠は何だろう?

根拠は「性格」だ。

国税局資料では、永代供養とは寺院や霊園が遺骨を預かり、供養や管理を行う供養方法とされている。

永代供養料は、毎年の忌日や彼岸などに供養してもらうために寺に納めておく金員であり、死者を葬る儀式に支出する葬式費用とは性格を異にする。

だから、通達13-5(3)に照らしても葬式費用に当たらない、という筋立てになる。

つまり、葬式費用として控除できるのは「葬送の儀式とその通常の付随費用」に限られる。

永代供養料は「供養や管理を依頼する金員」で、法会に近い性格だから外れる。

こう整理すれば、初心者でも腑に落ちやすいね。

最後に確認したい。

葬儀費用とは別に支払った永代供養料は、相続税申告の課税価格の計算上、債務控除できない。

その判断は、支払日ではなく、葬式費用か追善供養かという性格で決まる。

この理解で間違いないかい?

間違いない。

そして付け加えるなら、領収書の名目や、支払の趣旨が分かる資料を残すことだ。

税務の世界では、事実の積み重ねが推理の土台になる。

推理小説と同じでね。

想う相続税理士

相続税の「葬式費用」は、通達が示すとおり「葬送に直接結びつく費用」「通常葬式に伴うもの」に限って整理され、追善供養のための法会費用などは別物として扱われます。

永代供養料は、遺骨の管理や供養を依頼する性格を持つため、国税局資料の整理では葬式費用として債務控除できません。