【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続時精算課税適用財産が遺留分侵害額請求の対象になった場合の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税による贈与により取得した財産が、遺留分算定基礎財産に該当し、遺留分侵害額の請求に基づき金銭を支払った場合の税務上の取扱いについて、お話します。


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相続時精算課税適用財産は相続税の課税対象になる

贈与税の課税方法には、「暦年課税」「相続時精算課税」の2種類があります。

このうち、「相続時精算課税」による贈与財産は、必ず相続税の課税対象になります。

贈与時に贈与税を納付していた場合、その額は、相続税の計算において(前払い相続税として)精算されます。

相続人には最低限の財産の取り分が保障されている

父が死亡し、相続人が長男A・二男Bの2人だとします。

遺言により長男Aが全財産を取得しても、二男Bが「遺留分侵害額の請求」をした場合、長男Aは、その侵害額に相当する金銭を二男Bに支払わなければなりません。

つまり、長男Aは、実質的には(後からお金が出ていくので)全財産を取得できない、ということです。

二男Bには、遺留分相当の金銭を取得することが保障されているのです。

相続時精算課税適用財産は遺留分算定基礎財産になり得る

(父)「相続の時に財産があると遺留分侵害額を請求されるから、長男Aに生前に全財産を相続時精算課税により贈与してしまおう」というのは通用するのでしょうか?

民法(一部抜粋加工)
(遺留分を算定するための財産の価額)
第千四十三条 遺留分を算定するための財産の価額は(省略)
第千四十四条 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

上記に該当すれば、生前贈与財産も遺留分算定基礎財産に該当しますので、遺留分侵害額の請求があった場合には、その侵害額に相当する金銭を支払わなければなりません。

それは、相続時精算課税適用財産でも同様です。

まずは贈与税の更正の請求をする

遺留分侵害額の請求に基づき、上記の長男Aが二男Bに金銭を支払った場合、長男Aの課税対象財産は、次の算式により計算した金額を控除して計算されます。

国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
特定贈与者から贈与を受けた財産について遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定した場合の課税価格の計算

①×②/③

①遺留分侵害額の請求に基づき支払った金銭の額
②相続時精算課税適用財産の贈与時の相続税評価額
③相続時精算課税贈与財産の相続時の時価

この場合、(相続時精算課税による贈与に係る)贈与税の更正の請求をし(贈与税の課税対象が減少し)、それにより、相続税の課税価格も減少します。

相続税法は、遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定した場合において、それにより金銭の支払を受けた者は、相続税の申告(期限後申告又は修正申告)をすることができることとし、反面、金銭を支払った者は、既に申告した贈与税について更正の請求をすることができる旨規定しています。

したがって、特定贈与者から贈与を受けた財産について遺留分侵害額の請求を受け、その支払うべき金銭の額が確定した場合、既に申告した贈与税については更正の請求をすることによりその財産の価額から上記算式により求めた価額を控除したところで減額更正されることとなります。また、特定贈与者の死亡に係る相続税の計算において相続税精算課税適用者の相続税の課税価格に算入される財産の価額は、減額更正後の価額となります。

想う相続税理士

全員の協議に基づいて、上記の方法に準じた方法又は合理的と認められる方法により、その遺留分侵害額に相当する価額を計算して申告しても差し支えないモノとされています。