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前受家賃は債務控除の対象?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税申告における前受家賃の取扱いについて、お話します。

通常、前受家賃は発生しない

亡くなった方が不動産賃貸業を営んでいた場合の家賃収入について考えてみます。

家賃収入は、通常前受です。

翌月分を今月いただく、ということです。

そうすると、亡くなった方の確定申告をする際、亡くなった日時点で決算を組んだ場合には、翌月分の家賃が前受になると思われるかもしれません。

しかし税務上は、支払日が決まっていれば、その支払日に収入を計上することになっています。

12月10日に来年1月分の家賃をもらうことになっていれば、その12月10日が到来した時点で、もうその来年1月分の家賃は今年の収入になる、ということです。

No.1376 不動産所得の収入計上時期
不動産を賃貸したことにより収受する家賃、地代、更新料などは、その金額を不動産所得の総収入金額に算入することとなりますが、その収入に計上すべき時期は、原則として次のとおりです。
1 地代・家賃、共益費などは、その支払方法についての契約内容により原則として次のようになります。
(1) 契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日
(国税庁ホームページ・タックスアンサーより)

前受家賃を発生させることもできる!

上記の話に違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

「なぜ来年1月分の家賃が今年の収入になるのか?」と。

来年1月分の家賃を来年の収入にしたい場合には、一定の帳簿を備え付けて、その中で前受家賃や未収家賃の管理をきちんとしたりすれば、それが認められます。

参考 不動産等の賃貸料にかかる不動産所得の収入金額の計上時期について国税庁

前受家賃を債務として計上できるか?

上記の前受家賃を発生させる方法を取った場合、12月10日にもらった家賃については、来年の収入にすることができます。

もし相続が12月15日にあった場合、その12月10日にもらった家賃は、その亡くなった方の決算書上、前受家賃として負債の部に計上されます。

負債ということは、借金と同じです。

相続税の申告において、借入金などの負債がある場合には、債務控除により相続税が安くなります。

この場合にも、その前受家賃の分だけ相続税が安くなるのでしょうか?

実は、債務控除の対象となるモノは、亡くなった時点で「現に存在するもので確実と認められるモノに限る」という決まりがあります。

この前受家賃は「返す」ということが確実とは言えません。

したがって、前受家賃は債務控除の対象とはならないのです。

想う相続税理士

1つ目の原則的なパターン(前受家賃を計上しないパターン)で、12月10日の支払日が到来しているにも関わらず、家賃の振込がなく、その後、12月15日に相続があった場合には、その12月10日にもらうべき1月分の家賃は、未収入金(未収家賃)として相続財産(相続税の課税対象)になりますので、ご注意を。