【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

暦年課税による贈与で高い贈与税を払うと損をする!

相続税専門税理士の富山です。

今回は、贈与税と相続税の関係、及び、暦年課税による贈与と相続時精算課税による贈与の違いについて、お話します。


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贈与財産に相続税がかかる場合がある

贈与税の課税方法は、「暦年課税」「相続時精算課税」の2つがあります。

AさんがBさんに財産Cを「暦年課税」により贈与し、その後、Aさんが亡くなった場合、その「財産Cの贈与日がAさんの相続開始前3年以内に該当」し、かつ、「BさんがAさんの相続において財産を取得」したときは、その財産Cは相続税の課税対象になります。

AさんがBさんに財産Dを「相続時精算課税」により贈与し、その後、Aさんが亡くなった場合、その財産Dは相続税の課税対象になります。

相続時精算課税の場合、いつ贈与により取得したか、とか、相続で財産を取得したか、は関係なく、贈与財産が相続税の課税対象になります。

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贈与税を払った分だけ相続税が少なくなる場合がある

上記でお話したとおり、財産Cには相続税が課税されるのですが、財産Cの贈与時にBさんが贈与税を払っている場合、財産Cに相続税と贈与税が課税されると「二重課税」になってしまうため、相続税の計算において「贈与税額控除」により、贈与税が控除されます。

【ケース1】
Bさんが
Aさんから暦年課税による贈与で財産Cを取得し贈与税100万円を納税
Aさんの相続で土地Eを取得
Aさんの相続では財産Cと土地Eに対して相続税を納税
財産Cと土地Eに対する「計算された相続税」は500万円

というケースの場合、
500万円の相続税を納付するのではなく、100万円の贈与税を二重課税廃除の趣旨により控除(贈与税額控除)し、500万円△100万円=400万円の相続税を納税
という流れになります。

多額の贈与税を払っていたらどうなる?

上記の例は、
贈与税100万円<計算された相続税500万円
というケースでしたが、これが逆だったらどうなるでしょうか?

【ケース2】
Bさんが
Aさんから暦年課税による贈与で財産Cを取得し贈与税600万円を納税
Aさんの相続で土地Eを取得
Aさんの相続では財産Cと土地Eに対して相続税を納税
財産Cと土地Eに対する「計算された相続税」は200万円

というケースの場合、
200万円の相続税を納付するのではなく、財産Cに対する贈与税を二重課税廃除の趣旨により控除(贈与税額控除)するが、「控除できるのは『計算された相続税』200万円まで」なので、200万円△200万円=0円で相続税の納税無し
という流れになります。

【ケース2】は、トータルで納税した金額(贈与税600万円+相続税0万円=600万円)が「計算された相続税」200万円よりも多くなっています。

ザックリ言うと(財産Cの評価額が贈与時と相続時で同じだとすると)「財産Cを贈与ではなく相続でもらっておけば、トータル200万円の納税で済んだのに、400万円も余計に納税している」ということになります。

贈与税の実効税率(税負担率)が高く、相続税の実効税率(税負担率)が低いと、こういうことが起こります。

【ケース1】は、トータルで納税した金額(贈与税100万円+相続税400万円=500万円)と「計算された相続税」500万円がイコールですので、余計に納税した感じになっていません(財産Cを贈与でもらっても相続でもらっても同じです)。

【ケース2】のようにならないためには、どうすればいいのでしょうか?

高い贈与税取られっぱなし回避策

「高い税率で贈与税がかからないようにする=贈与する金額を抑える」というのも一つの手ですが、相続(争族)対策としてどうしても評価額が高い財産を贈与により早期に移転しておきたい、というケースもあるでしょうから、それ以外の方法を考えてみます。

対策1:Bさんが相続で多額の財産を相続する

Bさんは、Aさんの相続では土地Eしか取得しませんでした。

そうではなく、土地E以外の財産も取得することにより、「計算された相続税」が600万円以上になれば、【ケース1】と同じようになります。

対策2:相続時精算課税による贈与を選択する

(要件を満たしていて、他に問題が生じなければ)暦年課税ではなく、相続時精算課税による贈与を検討しましょう。

相続時精算課税の場合には、「400万円も余計に納税している」部分が、相続税の申告により「還付」されます。

つまり、「トータル200万円の納税で済」むのです(贈与税納税600万円△相続税還付400万円=200万円)。

想う相続税理士

相続時精算課税による贈与については、令和5年度税制改正により、新たに基礎控除額が創設されたため、その分の節税効果もあります。