相続税専門税理士ブログ

60歳未満でもできる相続時精算課税贈与と住宅取得等資金のおトクな贈与方法

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税制度の特例と、住宅取得等資金の贈与について、お話します。

贈与税の課税方法は2パターン

贈与税は、「暦年課税」「相続時精算課税」の2パターンで課税されます。

通常、一般的な相続税対策の際に使うのは、年間110万円の非課税枠がある「暦年課税」です。

「相続時精算課税」の方は、決まった間柄でしか適用することができませんし、適用する場合には、一定の手続きが必要となります。

国税庁HPタックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4103 相続時精算課税の選択
概要
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。

なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。

また、この制度の贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。

「原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに」です。

これを見ると、60歳未満の父母や祖父母は、相続時精算課税による贈与ができないように思われるかもしれません。

60歳未満の父母や祖父母でも相続時精算課税を適用した贈与ができる!

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第70条の3 特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例
平成15年1月1日から令和5年12月31日までの間にその年1月1日において60歳未満の者からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者が、次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該特定受贈者については、相続税法第21条の9(相続時精算課税の選択)の規定を準用する。

住宅取得等資金の贈与であれば、父母や祖父母は60歳未満でも相続時精算課税を適用した贈与をすることができます。

非課税特例贈与を併用することができる

住宅取得等資金の贈与であれば、60歳未満の父母や祖父母からの贈与でも、相続時精算課税を適用することができるのですが、この「住宅取得等資金の贈与」については、非課税の特例があります。

国税庁HPタックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
・概要
令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。
・非課税限度額
贈与を受けた者ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。

「贈与者が60歳未満の父母祖父母でもOKな住宅取得等資金限定の相続時精算課税」と、上記の非課税特例贈与の非課税限度額は併用できます。

相続時精算課税も2,500万円までの非課税枠(特別控除額)がありますが、この非課税枠を適用した分の贈与は、相続の際に、100%相続税の課税対象となります。

ですから、子や孫がマイホーム資金の贈与を受ける場合には、上記の非課税贈与を適用し、その限度額を超える部分について相続時精算課税を適用するようにして、できるだけ相続税の課税対象となる金額を減らすようにしましょう。

父母のどちらからも贈与を受けられる場合には相続の時のことを考える

父と母のどちらからもマイホーム資金の贈与を受けることができ、父が亡くなった場合には相続税がかかり、母が亡くなった場合には相続税がかからない、というときは、2つの特例の特徴を活かした課税の選択をしましょう。

相続時精算課税贈与

相続時精算課税贈与は、贈与の時には2,500万円の非課税枠(特別控除額)がありますが、この特例を適用した贈与財産は、将来の相続の際に、通常の相続財産に加算されて相続税の課税対象となります。

しかし、「相続財産に加算されて相続税の課税対象」になったとしても、その加算後の金額が相続税の非課税枠(遺産に係る基礎控除額)以下であれば、結果的に、相続税がかかりません。

ですから、相続税がかからない母から相続時精算課税贈与を受ければ、贈与税も相続税も係りません。

2,500万円の非課税枠を超えた贈与をすると、20%の贈与税が課税されますが、相続税がかからなければ、相続の時に還付(精算)されます。

想う相続税理士秘書

直系尊属からの住宅取得等資金の非課税特例贈与

直系尊属からの住宅取得等資金の非課税特例贈与は、贈与税がかかりませんし、相続税もかかりません。

ですから、相続税がかかる父から非課税特例贈与を受ければ、贈与税も相続税もかかりません。

想う相続税理士

特例をうまく使いましょう!