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ヤミ小作の場合の農地の評価はどうやる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続財産である農地がヤミ小作の対象になっている場合の評価について、お話します。

お金が入ってくる土地の評価は高くなる?いや逆です

地主さんが貸家を建てて他人に貸している(入居者がいる)場合や、更地を貸してその借りた方が建物を建てたりしているような場合、その貸すことにより、地主さんは土地を自由に使えなくなりますから、その分、財産的な価値が下がったものと考え、そのような土地については、相続税の申告における評価の際には、通常の評価額よりも安く評価します。

農地も同じように安く評価できる場合がある

農地の場合、建物が建つことがなくても、上記と同様に貸した土地を安く評価できる場合があります。

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
41 貸し付けられている農地の評価
耕作権、永小作権等の目的となっている農地の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
(1) 耕作権の目的となっている農地の価額は、37《純農地の評価》から40《市街地農地の評価》までの定めにより評価したその農地の価額(以下この節において「自用地としての価額」という。)から、42《耕作権の評価》の定めにより評価した耕作権の価額を控除した金額によって評価する。
(2) 永小作権の目的となっている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、相続税法第23条《地上権及び永小作権の評価》又は地価税法第24条《地上権及び永小作権の評価》の規定により評価した永小作権の価額を控除した金額によって評価する。

上記にあるとおり、「耕作権の目的となっている農地」「永小作権の目的となっている農地」の場合です。

民法(一部抜粋)
第五章 永小作権
(永小作権の内容)
第二百七十条 永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。

ヤミ小作の場合には安く評価できない

農地を貸す場合には、「農地法」が絡んできます。

農地法(一部抜粋)
第二章 権利移動及び転用の制限等
(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
第三条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。

上記にあるとおり、農業委員会の許可が必要なのです。

しかし、現実にはこの許可を取らずに、自分の農地を他の農家さんに貸しているケースも多いのではないでしょうか?

このケースを「ヤミ小作」と言います。

貸している農地が(建物も建っていないのに)安く評価できる根拠は、いったん貸した農地は、なかなか返してもらえないようになっているからです。

農地法(一部抜粋)
(農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)
第十八条 農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

「ヤミ小作」の場合、このような法的効力が生じませんから、他人に使われているとしても、その農地を安く評価することはできません。

想う相続税理士

ヤミ小作は、「時効取得」にご注意を。