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相続財産を寄附した場合の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続財産を寄附した場合の課税上の取扱いについて、お話します。

相続で取得した財産を国等に寄附したら?

相続で取得した財産を、相続税の申告期限までに、国や地方公共団体、公益を目的とする事業を行う特定の法人または認定非営利活動法人に寄附した場合、一定の要件に該当すれば、その財産は相続税の課税対象から除外することができます。

ただ寄附をすればいいというワケではなく、相続税の申告書にこの特例の適用を受けようとする旨を記載し、かつ、その適用を受ける寄附をした財産の明細書その他一定の書類を添付して申告しなければなりません。

想う相続税理士

相続税申告書第14表「特定の公益法人などに寄附した相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書」を使用します。
下記の書類の添付が必要です。

想う相続税理士秘書

  1. 国、地方公共団体または特定の公益法人の特例の適用を受けようとする財産の贈与を受けた旨、その贈与を受けた年月日および財産の明細ならびにその法人のその財産の使用目的を記載した書類
  2. 特定の公益法人である場合には、その特定の公益法人に該当する旨の地方独立行政法人法第6条第3項に規定する設立団体または私立学校法第4条に規定する所轄庁の証明書類

土地や株式を寄附した場合には?

相続税の申告においては、上記の要件に該当すれば、その寄附をした財産を相続税の課税対象から除外できることにより、相続税が安くなります。

しかし、注意すべき点があります。

「所得税」です。

所得税法(一部抜粋)
第59条 贈与等の場合の譲渡所得等の特例
次に掲げる事由により居住者の有する譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)

公益法人等に土地や株式など譲渡所得の起因となる財産を寄附(贈与)した場合には、原則として、上記のみなし譲渡課税の対象となり、その寄附財産を時価で売却したものとして、所得税を納めなければなりません。

所得税も非課税になる規定がある

しかし、国等に対して財産を寄附した場合、所得税においても下記のような非課税規定があるため、要件に該当すれば、所得税もかかりません。

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第40条 国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税
国又は地方公共団体に対し財産の贈与があつた場合には、所得税法第59条第1項第1号の規定の適用については、当該財産の贈与がなかつたものとみなす。
公益社団法人、公益財団法人、特定一般法人その他の公益を目的とする事業を行う法人に対する財産の贈与で、当該贈与が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること、当該贈与に係る財産が、当該贈与があつた日から2年を経過する日までの期間内に、当該公益法人等の当該公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであることその他の政令で定める要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものについても、また同様とする。

想う相続税理士

所得税の非課税の適用を受けるためには、「租税特別措置法第 40 条の規定による承認申請書」その他の書類の提出が必要になる場合がありますので、ご注意を。