【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

多額の家族名義の預貯金がある場合には注意

相続税専門税理士の富山です。

今回は、預貯金に対する税務署の考え方について、お話します。

通常、その財産が「誰のモノか」は、その名義(持ち主の名前・所有者名)で判断します。

しかし、預貯金についても同じように考えて、相続税の申告をするのは危険です。


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収入と預貯金残高は比例する

亡くなった方の収入が多ければ、亡くなった方の預貯金の残高は(その収入が貯まるので)多いハズ

家族の方の収入が少なければ、家族の方の預貯金の残高は少ないハズ

亡くなった方が収入が多いのに預貯金の残高が少なく、家族の方が収入が少ないのに預貯金の残高が多いという「逆転現象」はオカシイ

このような場合、税務署が、家族の方の預貯金(相続人名義の預貯金)は相続財産(亡くなった方のモノ)であると認定する恐れがある

そうすると、家族名義の預貯金にも相続税が課税されることになる

相続税の申告の際に、家族名義の預貯金が相続財産かどうかを検証する必要がある

預貯金の管理・運用は誰がどのようにしていたか(誰の手元にあったか、誰が自由に使えたか、その費消や運用には誰の意向が影響していたか、誰の許可が必要だったか)

誰が稼いだ・手に入れた収入(臨時収入を含む)を元にその預貯金が形成されているか(入金されたお金は「そもそも」誰のお金か、「誰が入金したか」ではなく)

過去における亡くなった方・家族の方の実際の手取り収入(臨時収入を含む)・多額の出費を確認する

多額の出費(買い物)があるということは、多額の収入があるハズ、出費された分の預貯金が減っているハズ(残高が少ないハズ)、そうでない場合にはオカシイ

混在していて不明な部分は収入割合で按分すべきとしたケース

亡くなった方と家族の方が共同で管理・運用していた口座の残高は、それぞれの収入の比で按分して、亡くなった方の収入に対応する部分の口座残高は、相続財産である、とした事例があります。

出典:TAINS(F0-3-158)
原処分庁が相続財産であると認定した家族名義預金等のうち、被相続人の妻の収入を原資とするものは、妻の固有財産と認められるから相続財産に該当しないとされた事例、②郵便貯金を相続財産として計上しなかった行為につき、審査請求人らの故意があったとされた事例

以上を総合考慮すると、本件家族名義預貯金等は、被相続人及び請求人■■■■■が共同して管理・運用しており、被相続人からの贈与がなかった以上、その帰属の判断は、主にその原資によらざるを得ない。そして、その原資となりうるのは、被相続人及び請求人■■■■■の各収入のみである。なお、その原資が、上記ハ(ロ)Bの(A)から(C)の複数によって構成される場合には、民法427条(平成16年法律第147号による改正前のもの。)により
、それぞれの原資がその預貯金等に占める割合によってあん分することになると解する。

家族名義預貯金は専従者給与から構成されている、とも認められず

また、生前の亡くなった方の確定申告において、家族の方に対する専従者給与(ザックリ言うと「家族に支払う給与」)が経費になっていたとしても、それが(家族間なので)ちゃんと支払われていなかったからと言って、家族名義預貯金の中にその未払分が入っている、とは認められませんでした。

②同請求人の当審判所に対する答述によれば、同請求人は、専従者給与について、税理士が行っていたものでよく理解しておらず、明確に給与として渡されたことはなかったことが認められ、③同請求人に収入があるにもかかわらず、婚姻費用はすべて被相続人が負担していたとみるのは不自然であることを併せ考えると、同請求人の専従者給与額全額がそのまま預入れされていたとする請求人らの主張は、合理性を欠き、採用できない。

想う相続税理士

多額の家族名義預貯金があるが、それは相続財産ではない、と税務署に主張するためには、その証拠をきちんと提示できるようにしておきましょう。