【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

どうせ遺留分を請求されるから遺言を作っても意味がない?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、遺言と遺留分について、お話します。


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遺言と遺留分に関する基礎知識

遺言がないと、相続人間で遺産分けの話し合い(遺産分割協議)をすることになります。

「この遺産分けの内容でみんな納得した」ということの証明書として、(通常は)相続人全員の署名及び実印の押印のある「遺産分割協議書」を作成します。

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この話し合いがモメてしまい、家庭裁判所の調停等の手続きに進むと、法定相続分での遺産分けになることが多いです。

遺言があった場合には、遺産分割協議よりも遺言が優先されます。

遺言の内容は、亡くなった方の意思の表れだからです。

ただし、必ず遺言のとおりに遺産分けできる、というワケではありません。

それは、相続人には「遺留分」という最低限の財産の取り分があるからです(保障されているからです)。

「遺留分侵害額の請求」を受けた場合には、その遺留分侵害額(取り分が遺留分に満たない分)をお金で支払わなければなりません。

つまり、遺言により全財産を相続しても、遺留分相当額のお金が出ていく可能性があるのです。

遺留分があることは遺言を無効にしない

遺言を作成しても、そのとおりにならない(お金を支払うことにおり実質的に財産を渡すことになる)のであれば、遺言を作っても無意味なのでしょうか?

そんなことはありません。

遺言がなければ「法定相続分」相当額の財産を渡すことになる可能性が高いです。

相続人が「配偶者+子」の場合、法定相続分は遺留分の2倍です。

相続人パターン 法定相続分 遺留分
配偶者+子 配偶者・・・1/2
子・・・1/2
配偶者・・・1/4
子・・・1/4

つまり、遺言がなければ、2倍の財産を渡さなければならなくなるかもしれない、ということです。

お金と時間と精神的・肉体的負担がかかる

家庭裁判所の調停等の手続きに進んだり、弁護士の先生に依頼することで、お金と時間がかかり、また、精神的・肉体的な疲労(負担)が伴うことが多いです。

そうなると、(場合によっては)「遺留分を請求してお金を受け取ることができた(何もしないよりトクしたと思った)けど、目に見えない負担も含めてそれ以上の損をしてしまったのではないか?」と感じる結果になることもあります。

遺留分相当額のお金を支払う側の方も、その負担は同様です(大変です)。

遺言があっても歩み寄って遺産分割協議書を作成することも可能

遺言があっても、「遺言で財産をもらう方」や相続人全員の合意があれば、遺言とは違う遺産分けの話し合い(遺産分割協議)ができ、遺言の内容と異なる遺産分けをすることができます。

上記のような両者に発生する経済的・時間的・精神的・肉体的損失を回避するため、妥協点を見い出して遺産分割協議により相続をまとめる、という手もあるのです。

想う相続税理士

このパターンの方が、最終的に相続人間の関係が悪化しない(付き合いの断絶を回避できる)可能性が高いです。

遺言があるからこそ実現できる流れ、と言えます。