【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

未成年者の相続人がいる場合の相続に注意

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続人の中に未成年者がいる場合の相続(遺産分け)について、お話します。


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未成年者は法律行為ができない

相続が発生し、相続人間で遺産分割協議を行う場合、その相続人の中に未成年者がいる場合には、注意が必要です。

遺産分割協議は「法律行為」に該当するため、法律行為を行えない未成年者は、遺産分割協議に参加することができません。

では、未成年者は相続財産を取得できないかというと、そんなことはありません。

「未成年者の代わりに法律行為をする方」に遺産分割協議に参加してもらいます。

遺産分割協議においては親子の利害関係が衝突する

「未成年者の代わりに法律行為をする方」は、原則として、父母(親権者)になります。

民法(一部抜粋)
(親権者)
第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。

上記の「親権」とは、子どもの利益のために、監護・教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限であり義務であるといわれており、親権は子どもの利益のために行使することとされています。

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「父」「母」「未成年の長男」のご家族がいらっしゃって、父が亡くなった場合、相続人は母・未成年者の長男になります。

未成年者の長男の親権者は母になりますが、母はその「未成年者の代わりに法律行為をする方」にはなれません。

母も相続人だからです。

相続人2人で遺産分割協議をするのですから、母が財産を相続すれば、その分、長男が財産を相続できなくなります(このような行為を「利益相反行為」といいます)。

家庭裁判所に代わりの人(「代理人」)を選んでもらう

このような場合には、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらいます。

民法(一部抜粋)
(利益相反行為)
第八百二十六条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

親権者がいない場合には未成年後見人が代わりの人になる

親権者がいる場合には、上記のような流れになりますが、例えばご両親が亡くなっていて、親権者がいない場合にはどうなるのでしょうか?

このような場合には、「未成年後見人」「未成年者の代わりに法律行為をする方」として遺産分割協議に参加します。

民法(一部抜粋)
(未成年後見人の指定)
第八百三十九条 未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。
(未成年後見人の選任)
第八百四十条 前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。

想う相続税理士

上記の民法第八百十八条に「子が養子であるときは、養親の親権に服する。」とあるように、未成年者が養子縁組をしている場合には、養親に親権があり、実親には親権がありません。

その養親が「自分が亡くなったときに(親権者がいなくなり)誰が未成年後見人(または親権者)になるか分からないのは不安だ!」とお考えになる場合には、上記の民法第八百三十九条にあるとおり、「遺言で、未成年後見人を指定」しておきましょう。