相続税申告確認ポイント①
名義財産の有無の確認
亡くなった方の名義になっている財産だけを申告書に計上すればいい、という訳ではない
亡くなった方以外の方の名義の財産でも、実質的に亡くなった方の財産である、という場合がある
一番注意すべきなのは預貯金(いわゆる「名義預金」)だが、それ以外の財産の場合もある
相続人の方が「いや、これは私のものです」と主張しても、その原資または購入代金が亡くなった方から出ていないか、「故人から贈与してもらいました」と主張するとしたら、本当に贈与が成立しているか、を確認する必要がある
過去の相続における未分割財産の有無の確認
亡くなった方の親御さんの相続について、遺産分けの話し合いがまとまらずにそのままになっている財産がある場合、その財産について亡くなった方に帰属する持分(通常は法定相続分に相当する部分)は、いったん亡くなった方の相続財産として相続税の課税対象に含めて計算する必要がある
特に注意すべきは、不動産である
誰も相続したくない、とか、相続登記(名義変更)にお金がかかる、という理由から、放置されている場合がある
また、遺産分けの話し合いがまとまっていて、遺産分割協議書もあるけれども、相続登記をしていない、という場合もある
そのような場合には、法定相続分で申告、という話にはならないので注意
共有の不動産の有無の確認
不動産については、亡くなった方が、例えば、ご兄弟や配偶者と共有しているものがないかを確認する
勝手に自宅だけ、と判断しない
不動産が共有であれば、未払となっている固定資産税について、持分相当額を債務控除の対象とする
生命保険契約の契約内容の確認
死亡保険金が支払われた場合、亡くなった方がその生命保険契約の契約者だと、相続税の課税対象になるか、というと、必ずしもそうではない
正確には、亡くなった方が「保険料負担者」である場合に、相続税の課税対象となる
亡くなった方が契約者だとしても、保険料を負担しているのが死亡保険金を受け取った相続人であれば、その死亡保険金は、その相続人の一時所得として所得税の課税対象になる
死亡保険金が支払われなくても、亡くなった方が保険料を負担していた生命保険契約がある場合、その生命保険契約は「生命保険契約に関する権利」として相続税の課税対象になる
生命保険契約に関する権利は、契約者が亡くなった方名義の場合には、遺産分割協議の対象となるが、契約者が例えば相続人になっている場合もあり、その場合には、遺産分割協議の対象外となる(その相続人に帰属する)
