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相続税申告を無事に乗り切るために押さえるべきポイント5選

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住宅ローン控除を受けていた人が亡くなったらここに注意


住宅ローン控除の適用を受けていた方がお亡くなりになったら、次の点に注意してください。

相続した
人は
住宅ローン
控除を
受けられ
ない

参考 相続により取得した住宅に係る借入金国税庁

相続により住宅ローンを引き継いだ相続人の方は、住宅ローン控除の適用を受けることができません。

死亡日
現在の
残高証明書
の発行を
早めに
銀行に
依頼する

亡くなった人の準確定申告(最後の確定申告)で住宅ローン控除の適用を受ける場合には、死亡日現在の残高証明書を発行してもらってください。

準確定申告の期限は亡くなってから4ヶ月以内ですから、ノンビリ翌年の3月まで待っててはいけません。

残高証明書を早めに銀行に請求しましょう。

住宅ローン
がチャラに
なっている
か確認する

今までの話は、住宅ローンを相続人が引続き返済していくパターンの場合です。

そうではなくて、死亡により住宅ローンがなくなってしまう場合もあるんです。

それは、「団体信用生命保険」に入っていた場合です。

これがあると、死亡により生命保険金が下りて、住宅ローンの残りを返済してくれます

その結果、こうなります。

準確定申告では?

住宅ローンの残高がないから、住宅ローン控除の適用は受けられません。

亡くなった人の相続税では?

その住宅ローンはないものとして計算することになります。

債務として財産から引くことはできないということです。

団体信用生命保険の保険金も財産になりません。

これは、相続人の手に渡らず、直接、銀行に行くお金だからです。

老人ホームの入居一時金に注意


想う相続税理士

老人ホームの入居一時金についてのお話です。

老人ホーム
への入居に
結構お金が
かかる
場合がある

老人ホームに入居する際、入居一時金など、まとまった金額の支払いが必要な場合があります。

今後の費用の前払的な部分や保証金的な要素などが含まれるため、高額になるのです。

入居される本人にお金があればいいのですが、払えない場合には、配偶者や子などの親族が払うことになるでしょう。

あまりに高額だと、「払うのはいいけど、贈与税はかからないよね?」って心配になりますよね?

親族は
支え合って
生きるのが
当然

「扶養義務者相互間の生活費等の贈与」は非課税です。

お互い生活を支え会うべき扶養義務者間、例えば親子間で、その生活に必要なお金を渡し合うということは、当然必要な行為

なのです。

ここでいう扶養義務者は、

(参考)相続税法基本通達第1条の2
相続税法(昭和25年法律第73号。以下「法」という。)第1条の2第1号に規定する「扶養義務者」とは、配偶者並びに民法(明治29年法律第89号)第877条((扶養義務者))の規定による直系血族及び兄弟姉妹並びに家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族をいうのであるが、これらの者のほか三親等内の親族で生計を一にする者については、家庭裁判所の審判がない場合であってもこれに該当するものとして取り扱うものとする。

と定められています。

内容に
よっては
非課税に
ならない
場合がある

当然ですが、老人ホームの入居費用だったら、何でもOKという訳ではありません。

①入居費用があまりにも高額

②設備がメチャクチャ豪華

③入居する必要性がない

④負担する必要性がない

というような場合には、課税される可能性があります。

「通常必要と認められるもの」であることが要件だからです。

入居された
まま
お亡くなりに
なったときの
返還金に
注意

老人ホームに入居された方がお亡くなりになった場合、契約時の条件を満たせば、入居一時金などが相続人に一部返還されます。

「このお金に税金はかかるの?」という発想が大事です。

入居時の契約で返還金の受取人が既に決まっているような場合、「生前に決まっていたんじゃ、その時点で贈与だ」という考え方も出てくるのです。

「いや、事務処理の円滑化を図るため、前もって暫定的に返還金を渡す方を決めておきたいだけです。最終的に誰がもらうかは、相続人間でお決めになっていただきたい」という老人ホーム側の意図があるのであれば、通常の相続財産です。

とはいえ、これらの考え方は、扶養義務者相互間の非課税の贈与により入居一時金が入居者のものになっている、という前提でのお話です。

通常は入居者が老人ホームと入居の契約をしますが、その契約において入居者は単なる名義人であり、入居一時金を負担した親族が実質の契約者である、という場合には、その負担した親族が返還金を受け取るのであれば、自分のお金が返ってきただけなので、相続税や贈与税の課税はありません。

ただし、この場合でも、入居一時金負担者と返還金受取人が違う人である場合には、贈与税の課税が生じますよね(負担者から受取人にお金が流れますので)

どちらにせよ、きちんと契約の実態を確認することが重要です。

自分に都合のいいように解釈するのは危険ですよ。

申告時点で
返還を
受けて
いなくても
ダメ

今までの話を聞いて、「面倒くさいなあ。じゃあ返還金は当分の間受け取らないで、申告の後に受取ればいいや」と考えても、それは通用しません。

契約により返還を受けることができる金額を見積もることができるのであれば、仮にまだ返還を受けていなくても、その見積もった「権利」の金額ついて、課税の対象になるかの検討が必要です。

お亡くなりになった方の確定申告をしないと相続税の申告ができません


想う相続税理士

お亡くなりになった方の確定申告についてのお話です。

相続人は
所得税の
確定申告も
やる

人がお亡くなりになったときに、申告しなければならないのは、相続税の申告だけではありません。

そのお亡くなりになった方が、確定申告をする必要があったのであれば、相続人の方が代わりに確定申告をしなければなりません。

この申告のことを、「準確定申告」といいます。

申告期限は
3月15日
ではない

通常の確定申告は毎年3月15日が申告期限となっていますが、準確定申告は違います。

相続人が「死亡したことを知った日の翌日から4ヶ月以内」です。

相続税の申告期限は、「死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」ですので、それに比べると、かなり早いタイムリミットです。

準確定申告
は普通の
確定申告
ではない

4ヶ月というと、時間があるように感じられるかもしれませんが、結構てこずるケースがあります。

早めの準備が必要です。

お亡くなりになった後は結構忙しくてあっという間に時間が経ってしまう

お葬式が終わると(又はそれと並行して)、役所への書類の提出や支払関係の手続き、お墓や仏壇の購入、そして四十九日など、やることがいろいろとあります。

自分の申告ではないからよく分からない

お亡くなりになった方がご自分で確定申告をされていた場合、どうやって所得(儲け)等を計算していたのか、相続人の方には分かりませんし、もう聞けません。

控や計算根拠が揃っていれば解明できるかもしれませんが、申告書の第1表の控しかない、というようなこともあり得ます。

相続人の方が自分の確定申告をやったことがないとなると、さらに大変です。

準確定申告は普通の確定申告と計算方法が異なる部分がある

例えば、年の途中でお亡くなりになった場合で、年4回分割納付している固定資産税がある場合、どの部分まで経費にするのか、また、扶養控除や配偶者控除が適用できるかどうかをどう判断するのか(年の途中で38万円の判定はどうやって?)等、普通の確定申告とはちょっと違う観点からの整理が必要になってきます。

消費税の
準確定申告
も忘れずに

お亡くなりになった方が事業をされていた場合には、消費税についても、課税事業者に該当すると、4ヶ月以内の申告が必要となります。

相続人に
申告義務が
発生する
パターンは
2つ

1月1日から3月15日までの間にお亡くなりになった場合には、前の年の確定申告と、その年の(死亡日までの分の)確定申告の2種類を提出しなければならない可能性が出てきます。

さらに過年度分について、お亡くなりになった方が申告を忘れているものがあれば、延滞税等がかかりますので、直ちに申告しましょう。

納税では
なく
還付申告も
できる

準確定申告で税金の還付を受けることも可能です。

還付申告については、「その年の翌年1月1日から5年間」は提出できますが、準確定申告の場合には、次にお話する理由から、「5年」も期間があってもほぼ無意味です。

準確定申告
で支払う
又は
還付を
受ける税金
は相続税の
申告対象

相続税の計算上、支払う税金は「債務控除」の対象となり、プラスの財産からマイナスできます。

逆に還付を受ける税金は、お亡くなりになった方のプラスの財産として取り扱われます。

つまり、相続税の申告期限までに、準確定申告が終わっていないと、正しい相続税が計算できない、ということになりますので、ご注意ください。

想う相続税理士

事業用財産を相続した相続人は減価償却に注意


参考 相続により取得した減価償却資産の耐用年数国税庁

相続により取得した本件資産の減価償却費の計算における耐用年数は、耐用年数省令第3条第1項の中古資産に係る見積もりによる使用可能期間に基づく年数とすることはできません。

参考 平成19年4月1日以降に相続により減価償却資産を取得した場合国税庁

個人事業者(アパート等を経営されている方も含みます)が資産を購入した場合、その購入金額を何年かに分けて経費にしていきます。

1,000万円で購入して、5年で経費にしていくとすれば、1年あたり200万円が経費になります。

何年で分けるかは資産の種類等で決まっていて、その年数を「耐用年数」といいます。

何年「耐えて」「用いる(使える)」ことができるかの年数ということです。

でも、同じ1,000万円の資産でも、新品のモノと、中古のモノでは、残り何年使えるかは違ってくるはずです。

そこで、中古の資産については、通常よりも短い耐用年数で経費にしていいよ、ということになっています

中古の資産は、新品の資産よりも長持ちしない、という考え方です。

ところで、相続で事業用の財産を取得した場合、相続人にとっては、中古の財産になりますよね。

お亡くなりになった方が生前使っていた資産ですので。

じゃあ、これも短い耐用年数で経費にしていいかっていうと、それはダメ、というのが、今回の注意点です。

購入金額等の計算自体が、相続人がずっと持っていたものとみなして計算することになっているから、というのがその理由です。

入居者から預かっている敷金の取扱いは?

お金を
預かって
いる?
預けて
いる?

お亡くなりになった方が不動産賃貸業を営んでいて、入居者から敷金を預かっている場合、その敷金は債務控除(プラスの財産からマイナス)の対象です。

その入居者が出ていく時には返さなければいけない金額ですよね。

「返さなければいけない金額」ですから、「借入金と同じ」ということです。

だから、債務控除できます。

実際には、その入居者の家賃の支払いが滞ったり、修繕費がかかったりした場合には、その分を相殺して返しますが。

そういう相殺するものが全くなかったら、全額返すことになるので、「返さなければいけない金額=債務」ということで、債務控除の対象となります。

間違えやすいのは、その敷金を自分で所持しておらず、不動産管理会社などに預けている場合です。

この場合でも、入居者が出ていく場合には、その敷金を返さなければならないことに変わりはありませんので、敷金の金額は、債務控除の対象です。

ただし、預かった敷金を不動産管理会社に預けています。

ということは、入居者が出ていく場合には、不動産管理会社からその預かってもらっている敷金を返してもらって、それを入居者に返す、ということになります。

つまり、不動産管理会社に「貸している」お金があるようなもんです。

いざとなったら不動産管理会社に請求してお金が入金になる訳ですから、これは「財産」(預け金)として財産計上する必要があるんです。

実は、この不動産管理会社が登場しない場合、つまり、自分で敷金を預かっている場合でも、自分の銀行預金の残高が、その預かった敷金の分だけ増加しますから、預金を相続財産として計上すれば、自然と預かった敷金も申告することになるので、意識しなくても申告もれにはなりません

これが外部の不動産管理会社に預けた場合には、この入居者から預かって、不動産会社に預けた、というお金の流れを忘れやすく、預け金部分を財産に計上し忘れる、というミスが発生しやすくなります。

想う相続税理士

相続があった場合に、賃貸不動産について賃貸借契約書を確認する際、預り敷金の金額を書面で把握することが必要ですが、その預り敷金がどこにあるのか(お亡くなりになった方の預金を構成しているのか、それとも外部に預けているのか)の確認まで踏み込むのをお忘れなく

保証金にも
注意!

また、事業用の賃貸物件の場合には、「保証金」を預かる場合があります。

これも預り敷金と同じように、債務控除の対象です。

ただし、この「保証金」については、賃貸借期間が経過するにつれ、返還すべき金額が少なくなっていく(償却される)ものがあります

このようなものについて預かった保証金の金額を丸々債務控除してしまうと、債務の過大計上になりますので、ご注意を。

また、事業用の保証金の場合、預かる期間が長期間になり、かつ、金額も多額でになる傾向があります。

「借入金と同じ」と言いましたが、「借入金」のようなものにしては、利息を支払う必要がないんです。

つまり、利息も払わず、大金を長期間保有できちゃうんです。

普通預金に入れておけば利息が稼げます!

この得している部分を「複利現価率」を使って計算し、保証金の金額からマイナスして、債務控除する必要があります。

これも忘れると、同じように債務の過大計上になりますので、ご注意を。

想う相続税理士