【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

個人の自宅の庭も財産評価基本通達の庭園設備に該当するとした事例

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方のご自宅の庭が「家屋とは別に独立した財産として評価すべきもの」とされた事例について、お話します。


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庭は単体で売れないから価値がない?だから申告しなくてOK?

庭はその部分を切り取って売却することはできませんから、申告しなくてもいいのでしょうか?

または、「庭石や灯篭等をバラして買ってもらうとしたら現況の状態でいくらで売れるか?」を元に計算するのでしょうか?

出典:TAINS(J130-4-08)(一部抜粋加工)
令05-03-07公表裁決
請求人は、被相続人の自宅庭園(本件庭園設備)について、個人宅の庭であり、その立地条件等からしても本件庭園設備を一体として売却できず、また、立木や庭石、灯篭等を個別に売却するとしても買取り価額は低額である上、実際に買手が見つからないことから、交換価値がなく財産評価基本通達(評価通達)は適用されない旨主張する。
しかしながら、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)(本件通達)は、「庭園設備」について、家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが相続税法に規定する財産であることに照らし、家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当であるところ、本件庭園設備は、家屋とは別異の設備として、複数の業者によって金銭に見積もることができる経済的価値が認められているものであることからして、家屋とは別に独立した財産として評価すべきものである。また、本件庭園設備は、造園されたものであるから、庭石商の店頭におけるように、立木や庭石、灯篭等を個別に売却することを前提に評価することは相当ではなく、上記のとおり、経済的価値が認められているものである。よって、本件庭園設備の相続税の課税価格に算入される価額は、本件通達の定める方法によって評価するのが相当である。

個人宅の庭だったとしても、経済的な価値が認められるのであれば、相続財産として評価する必要があります。

想う相続税理士

「庭石については、庭石商の店頭価額ではなく、課税時期(相続開始日)において存する庭先への搬入費、据付費等をも含めた価額によるものと解され」る、とされました。

財産評価基本通達における庭の評価はどうなっている?

財産評価基本通達「92 附属設備等の評価」では、「附属設備等の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。」として、

(1)家屋と構造上一体となっている設備
(2)門、塀等の設備
(3)庭園設備

を挙げています。

(3)は「庭木、庭石、あずまや、庭池等をいう。」とし、(1)は「家屋の価額に含めて評価」し、つまり別個に評価しないモノとし、(2)は(1)にも(3)にも含まれないので別個に評価する、ということになります。

(3)の評価については、次のように定められています。

(3) 庭園設備
庭園設備(庭木、庭石、あずまや、庭池等をいう。)の価額は、その庭園設備の調達価額(課税時期においてその財産をその財産の現況により取得する場合の価額をいう。以下同じ。)の100分の70に相当する価額によって評価する。

(2)は再建築価額ベースで計算します。

具体的には、「相続開始日において新たに建築するために要する費用の額」から「建築日から相続開始日までの期間の減価部分」を控除して計算します。

それに対して、(3)は減価を見積もることが実務上困難として、調達価額ベースで計算します。

具体的には、「相続開始日においてその庭をその庭の現況により取得する場合の金額」(×70%)ということになります。

想う相続税理士秘書

想う相続税理士

(2)と(3)では、計算の方法が異なります。