【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

遺留分算定基礎財産と特別受益の持戻し免除の関係

相続税専門税理士の富山です。

今回は、遺留分と特別受益の持戻し免除の関係について、お話します。


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遺留分って何?

遺留分とは、「遺言によっても奪うことができない相続人に認められた遺産の最低限の取り分」

したがって、遺言がない場合には、遺留分の話は出てこない

一般的に、遺言がなくて遺産分けがモメると、法定相続分(民法で定められた相続割合)での遺産分けになることが多い

兄弟姉妹は、パターンによっては相続人になれるが遺留分はない

配偶者や子、親に比べれば、近い親族ではないから

遺留分は「遺産の最低限の取り分」だが、遺留分を請求する場合には、「お金」で請求するのが原則となる

相続の時にない財産も遺留分の計算対象になる

遺留分を計算する場合には、まず「遺留分算定基礎財産」を計算する

「遺留分算定基礎財産=相続の際にある財産△相続の際にある債務+生前贈与財産」である

上記のプラスされる生前贈与財産は、

  1. 相続人に対する相続開始前10年間の贈与財産
  2. 相続人以外の方に対する相続開始前1年間の贈与財産
  3. 当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってした贈与財産(年数関係なし)

である

「相続人に対する贈与だから、15年前の贈与なら①に引っかからないから大丈夫」というワケではなく、③に引っかかればプラスされる

特別受益の持戻し免除の意思表示は遺留分にどう影響する?

遺言者が「特別受益の持戻し免除の意思表示」をしていたとしても、遺留分算定基礎財産の計算には関係ない(影響を及ぼさない)

「特別受益」とは、ザックリ言うと、他の相続人と比べて特別に受けた(生前贈与などの)利益

「持戻し免除の意思表示」とは、ザックリ言うと、その特別受益を遺産分けの対象にしないで欲しい(その特別受益を除いて遺産分けをして欲しい、その特別受益はもらった人にそのままあげて欲しい)と亡くなった方が相続人に気持ちを示すこと

出典:TAINS(Z999-5249)
最高裁判所第一小法廷平成23年(許)第25号遺産分割審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件(破棄差戻し)(一部抜粋加工)
平成24年1月26日決定
本件遺留分減殺請求により、抗告人らの遺留分を侵害する本件持戻し免除の意思表示が減殺されることになるが、遺留分減殺請求により特別受益に当たる贈与についてされた持戻し免除の意思表示が減殺された場合、持戻し免除の意思表示は、遺留分を侵害する限度で失効し当該贈与に係る財産の価額は、上記の限度で遺留分権利者である相続人の相続分に加算され、当該贈与を受けた相続人の相続分から控除されるものと解するのが相当である。

想う相続税理士

「遺言がない場合には、遺留分の話は出てこない」とお話しましたが、遺言がない場合でも、生前贈与の特別受益が遺産分けの対象になることがあります。

この場合、相続人だったら10年間分のみ、というような期間制限はありません(10年超でも特別受益に該当し得る)ので、ご注意を。