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相続後の売却金額を不動産等の相続税評価額として相続税の申告をしたらダメとされた事例

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告において不動産等を評価するにあたり、「相続後の売却金額を、相続税を計算する際の評価額として採用してはダメ」とした裁決事例について、お話します。


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相続後の売却金額をベースに相続税評価額を計算していいとされた事例もある

相続後の売却金額をベースにマンションの相続税評価額を計算していいとされた事例

上記の記事では、相続税の申告においてマンションを評価するにあたり、「『相続後の売却金額』を『死亡日時点に時点修正』した金額」を、相続税を計算する際の評価額として採用していい、とした裁決事例について、お話しました。

しかし、常に「相続後の売却金額が時価と考えられる=相続税評価額として採用できる」というワケではありません。

特殊な事情・個別的要因はないか?

相続後の売却金額が、純然たる第三者間売買とは認め難い取引であり、取引当事者の事情に基づく価格となっているため、客観的な交換価値(時価)であると認めることは困難とした事例があります。

出典:TAINS(F0-3-871)(一部抜粋)
令05-02-09裁決
請求人は、実際に売却した金額であり、売り急ぎもないのであるから時価である旨主張する。しかしながら、本件各業者売却価格は、不動産業者に対して一括して売却するという取引方法を選択した結果、転売することを前提に決定されたものであるといえ、その売却時点における取引当事者の事情に基づく価格というべき

不動産等(土地・被相続人が株主であるA社所有の貸家建付借地権及び家屋)は、請求人又はA社と買主3との間の直接の取引であり、当初から売買の相手方は買主3に限定されていた

買主3は、請求人の父が設けていた税理士事務所に勤務していた者であり、売買の時点においては順号13の家屋をA社から賃借して自身の税理士事務所を設けていたことからすれば、「純然たる第三者」とは認め難く、本件各個人売却価格は、取引当事者の主観的事情に基づき形成された金額というべき

客観的な交換価値(時価)であると認めることは困難

請求人は、本件各売却価格の合計額は、路線価や近隣の売買実例と比較しても合理的な価額である旨主張する。
請求人が主張する近隣の売買実例における売却価格については、取引事情や個別的要因の比較が可能ではないから、当該売買実例の示す価額が適正な時価といえるか否かを検証することは困難である。したがって、本件各売却価格の合計額が本件各不動産等の客観的な交換価値(時価)であると認めることは困難であり、請求人の主張する事情は、評価通達に定める評価方法によるべきではない特別の事情には当たらない。

評価通達の定める方法によるべきではない特別の事情があるか?

上記でお話した「純然たる第三者間売買とは認め難い取引」ではなかったとしても、通常の評価(財産評価基本通達による評価)では、その財産の時価を超える評価額となってしまい、適正な時価を求めることができない結果となる場合、つまり、財産評価基本通達に定める評価方法によらないことが正当と是認されるような特別の事情があれば、他の金額を相続税申告における評価額(相続税評価額)として採用できる可能性がありますが、そのような特別の事情がなければ、「市場における実際の売却価格こそが本当の時価だろう!」と主張しても、税務署にはなかなか通用しません。

本件各業者売却価格が実際の売却価格であるとしても、当該売買の当事者間における合意金額にすぎないから、直ちにそれが時価と認められるものではない。

想う相続税理士

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