【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

アパートを贈与すると相続税対策になる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、収益物件の贈与について、お話します。

収益物件贈与後の家賃は誰のモノ?

アパートや貸家などの収益物件を所有している場合、そのアパートや貸家の建物も(当然、敷地の土地も)相続財産になります。

さらに、そのアパートや貸家の賃貸収入(家賃)がその所有者の懐に入ってくることから、その賃貸収入(厳密には経費等を差し引いた金額=「手残り」)も現金・預貯金として相続財産になります。

その賃貸収入は、収益物件を所有している限り発生し、相続財産を増加させます。

このアパートや貸家を、例えば子に贈与した場合、その贈与後の家賃(手残り)は子のモノになりますから、親の現金・預貯金の増加を防ぐことができます。

つまり、相続税対策になるということです。

所得分散による所得税減税効果もある

所得税は「超過累進税率」であるため、収入(所得)が高ければ高いほど、税負担(実効税率)も高くなります。

高所得者と低所得者では、同じ100万円の所得でも、計算される所得税は変わるのです(高所得者の方が実効税率が高いので所得税も高い)。

親の所得が多いために、親の所得税の実効税率が高い場合、収益物件を贈与することにより、その家賃収入(不動産所得)がその親の確定申告において計上されないことになれば、その分、親の所得税の実効税率は下がります。

「親において不動産所得が計上されなくなっても、その分の不動産所得が子において計上されるから、結局は同じではないか」と思われるかもしれませんが、先ほどお話したように、その収入を得る方が高所得者か低所得者かで税負担は変わります。

子の所得が少なければ、税負担(実効税率)も低いですから、その家賃収入がプラスされても、あまり税負担が高くならないでしょう。

それに対して、親の所得が多ければ、不動産所得が減ることによる所得税の減少効果は大きいため、親と子のトータルでは所得税が少なくなる効果が生まれます。

もらう方が喜ぶかどうか

その収益物件が、いくら家賃収入があってお金を生み出す資産だったとしても、子が喜ばない可能性もあります。

儲け(不動産所得)があると言っても、本当に少額な場合には修繕費が発生した年においては大赤字になる可能性もあります。

また、環境の変化等により入居者が減るリスクもあります。

子にとって負の遺産になる可能性があります。

預り敷金や借入金に注意

大家さんは入居者から敷金を預かっている

子が親から収益物件の贈与を受けるということは、子が新たな大家さんになるということです。

その場合、親が大家さんとして入居者の方から預かっている敷金についても、当然新しい大家さんである子に引き継がれることになります。

この敷金について考慮せず、収益物件だけを贈与した場合には、「負担付贈与」に該当し、時価ベースでの贈与税の計算を余儀なくされます。

賃貸物件の贈与と合わせて、その敷金相当額の金銭も贈与した場合には、子は新しい大家さんとして敷金の返還負担(債務)を引き継ぎますが、親から同額の金銭の贈与も受けていれば、「実質的な『負担』はない」と考えられますので、負担付贈与には該当しません。

借入金は相手がある話なので勝手に移せない

特に相続税対策として収益物件を建築した場合、初期費用を金融機関からの借入でまかなっている場合があります。

この借入金についても、子に対して引き継がせたいところですが、それは親子間だけでは決められません。

貸してくれているのは金融機関ですから、金融機関の了承を得なければならないのです。

想う相続税理士

収益物件の贈与には相続時精算課税が向いている、と言われます。

収益物件が大きい(評価額が高い)場合、暦年課税だと贈与税が多額になってしまう可能性がありますが、相続時精算課税であれば、最終的に相続税課税なので低い税負担で移転でき(相続税の税率は贈与税の税率よりも低い)、家賃収入が相続財産にならないようにできる、ということなのですが、建物の評価額は年々下がります。

相続の時に評価額が下がっていても、贈与時の相対的に高い評価額で相続税が計算されますので、ご注意を。