【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

区分所有建物の二世帯住宅に対する小規模宅地等の特例の適用

相続税専門税理士の富山です。

今回は、区分所有建物である二世帯住宅に対する小規模宅地等の特例の適用について、下記の裁決事例を元に、お話します。

出典:TAINS(F0-3-769)(一部抜粋加工)
1 本件は、審査請求人A及びB(請求人ら)が、請求人Aが相続により取得した宅地に小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(本件特例)を適用して相続税の申告をしたところ、原処分庁が当該特例は適用できないとして相続税の各更正処分等をしたのに対し、請求人らがその全部の取消しを求めた事案である。
2 被相続人(=亡くなった方)は、平成13年1月17日、各土地上に2階建ての一棟の建物(本件建物)を新築し、1階部分(本件建物1階部分)及び2階部分(本件建物2階部分)をそれぞれ区分所有建物である旨の登記をした。本件建物は、外階段によって行き来することができる構造であり、本件建物の新築から被相続人の死亡に至るまで、本件建物1階部分には請求人らとその子が居住し、本件建物2階部分には被相続人とその妻Cが居住していた。

亡くなった方やその生計一親族の自宅敷地は評価額を減額できる

相続税の計算においては、一定の居住用または事業用の宅地等について、その評価額を80%または50%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があり、大きくは「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「特定居住用宅地等」「貸付事業用宅地等」の4つの適用パターンがあります。

このうち「特定居住用宅地等」は、「亡くなった方」またはその「生計一親族」「居住の用に供されていた宅地等」が対象となります。

区分所有建物である二世帯住宅に関する注意点

区分所有建物に対する小規模宅地等の特例については、下記の定めがあります。

租税特別措置法施行令(一部抜粋)
第40条の2 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
4 当該被相続人等の同項に規定する事業の用又は居住の用に供されていた部分(当該居住の用に供されていた部分が被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物(建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物を除く。)に係るものである場合には、当該一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうち当該被相続人の親族の居住の用に供されていた部分を含む。)に限るものとする。

「亡くなった方の親族の居住の用に供されていた部分を含む」という取扱いは、「区分所有建物については除く」のです。

つまり、自宅敷地を「1階部分に対応する部分(請求人の方等が住んでいた部分)」「2階部分に対応する部分(亡くなった方が住んでいた部分)」に分けて考える必要があります。

区分所有建物である二世帯住宅については、小規模宅地等の特例の適用の可否を、どのように考えていけばいいのでしょうか?

上記の裁決事例では、「1階部分に対応する部分(請求人の方等が住んでいた部分)」に小規模宅地等の特例が適用できるかどうかが争われました。

小規模宅地等の特例の適用が認められなかった理由とは?

結論からお話すると、上記の裁決では、小規模宅地等の特例の適用は認められませんでした。

まず、「1階部分に対応する部分」「亡くなった方の居住の用に供されていた宅地等」に該当するかどうかが論点になりました。

該当すれば、請求人の方は同居親族となり、特例の適用の可能性があります。

これについては、亡くなった方の「生活の拠点」は2階であり、また、上記の租税特別措置法施行令の取扱いから、該当しない、とされました。

次に、請求人の方が「生計一親族」に該当するかどうかが論点になりました。

該当すれば、特例の適用の可能性があります。

これについては、「日常生活の資を共通にしていた関係」にあったと認めることはできないため、該当しない、とされました。

また、

  1. 被相続人と請求人らの生活は客観的に本件建物に二世帯住宅の同居と認知されている
  2. 本件建物は、被相続人の妻Cの安心した居住を考えて区分所有建物としたものにすぎない
  3. 本件建物1階部分及び本件建物2階部分は、一般的なマンションとは明らかに相違し、分割して処分することは不可能
であったとしても、小規模宅地等の特例は適用できない、とされました。

想う相続税理士

区分所有建物の二世帯住宅の場合には、小規模宅地等の特例にご注意を。