【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続における債務の承継について気を付けるべきこととは?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、債務の相続について、お話します。


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債務を相続すると相続税が安くなる

相続の際には、亡くなった方の土地や預貯金などのプラスの財産だけではなく、借入金などの債務も相続する必要がある

例えば借入金が残っていたとしたら、通常は、相続人の中の誰が負担するか(今後払っていくか)を決める

例えば、亡くなった方に1,000万円の借入金があるとする

相続人Aさんが、3,000万円の定期預金と合わせて、その借入金を相続する、と相続人間の遺産分割協議で決まったとする

Aさんは、3,000万円の定期預金を相続するが、1,000万円の借入金を返済しなければならなくなるため、3,000万円に対する相続税を納めるのではなく、1,000万円を差し引いた2,000万円に対する相続税(3,000万円に対する相続税よりも安い相続税)を納めることになる(この差し引きすることを「債務控除」と言う)

債務を誰が相続するか決められるようで決められない?

相続人間の遺産分割協議によりAさんが借入金を相続する、と決まったのであれば、その借入金はAさんが返済していくワケなので、一般的には、Aさん以外の相続人の方は、その借入金を返済しない

しかし、借入金(債務)には銀行などの相手(債権者)がいる

Aさんが無一文になり借入金を返済できない場合、銀行は泣き寝入りになる(債権を回収できなくなる)かというと、そんなことはない

民法(一部抜粋)
(分割債権及び分割債務)
第四百二十七条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

原則的には、上記にあるとおり、債務は法定相続分で相続することになるため、銀行はAさんから回収できなければ、他の相続人に返済を求めてくる

この時、銀行に「遺産分割協議書にはAが返済するって書いてあるんですけど」と言っても通用しない

免責的債務引受をすれば他の相続人は返済を求められない

債務者が債務を免れて、その代わりに引受人が新債務者として同一内容の債務を負担することを「免責的債務引受」と言う

Aさんが引受人になれば、他の相続人は返済を求められなくなる

民法(一部抜粋)
第二款 免責的債務引受
(免責的債務引受の要件及び効果)
第四百七十二条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。
2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。

想う相続税理士

免責的債務引受をしなかった場合、銀行から返済を求められた他の相続人(例えば相続人Bさん)が返済をすることになります。

この場合、遺産分割協議書上はAさんが返済することになっているワケですから、相続人間の取り決め上では、Bさんが借入金を負担するのはオカシイということになります。

そこで、BさんはAさんに、自分が返済した分のお金を渡せ、と求めることができます。