【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税専門税理士が見た令和5年度税制改正大綱における教育資金一括非課税贈与の改正

相続税専門税理士の富山です。

今回は、先週決定した令和5年度税制改正大綱の資産課税の分野のうち、教育資金一括非課税贈与の改正の部分について、お話します。

※現時点での予想が含まれていますので、予めご了承ください。


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令和5年度税制改正大綱を読んでみると・・・。【相続税課税の改正】

(令和5年度税制改正大綱・一部抜粋加工)

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。

租税特別措置法(一部抜粋)
第70条の2の2 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、

想う相続税理士

とあるように、令和5年3月31日までの適用期限でしたが、これが3年延長され、令和8年3月31日までとなります。

信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合において、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が 23 歳未満である場合等であっても、その死亡の日における非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額を、当該受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなす。

この「23 歳未満である場合等」ですが、租税特別措置法には、次のような規定があります。

想う相続税理士秘書

租税特別措置法(一部抜粋)
第70条の2の2 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
13 前項の規定は、同項の贈与者の死亡の日において受贈者が次に掲げる場合に該当する場合には、適用しない
一 23歳未満である場合
二 学校等に在学している場合
三 教育訓練(雇用保険法第60条の2第1項に規定する教育訓練をいう。)を受けている場合

「23歳未満である場合」「学校等に在学している場合」「教育訓練を受けている場合」には、何を「適用しない」のかというと、

想う相続税理士秘書

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第70条の2の2 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
12 教育資金管理契約の終了の日までの間に当該贈与者が死亡した場合には、次に定めるところによる。
二 当該贈与者に係る受贈者については、当該贈与者が死亡した日における非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額として政令で定める金額を当該贈与者から相続(相続人以外の者である場合には、遺贈)により取得したものとみなして、相続税法その他相続税に関する法令の規定を適用する。

とあるように、「贈与者死亡時の教育資金未使用分を相続税の課税対象にする」ということを「適用しない」のです。

つまり、改正後は、ザックリ言うと、「財産を渡した方」が亡くなって、その財産が多い場合(具体的には5億円超の場合)には、「財産を渡された方」「23 歳未満である場合等」に該当しても、原則どおり、その教育資金未使用分には相続税がかかる、ということになります。

想う相続税理士秘書

(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税について適用する。

想う相続税理士

従来の取扱いができるのは、残り3ヶ月とちょっと、ということになります。

令和5年度税制改正大綱を読んでみると・・・。【贈与税課税の改正】

受贈者が 30 歳に達した場合等において、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとする。

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第70条の2の2 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
14 教育資金管理契約は、次の各号に掲げる事由の区分に応じ当該各号に定める日のいずれか早い日に終了するものとする。
一 受贈者が30歳に達したこと 当該受贈者が30歳に達した日
15 前項各号に掲げる事由に該当したことにより教育資金管理契約が終了した場合において、当該教育資金管理契約に係る非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があるときは、当該残額については、当該教育資金管理契約に係る受贈者の前項各号に定める日の属する年の贈与税の課税価格に算入する

とあるように、ザックリ言うと、「30歳になって教育資金未使用分がある場合には、贈与税が課税される」のですが、その計算では「一般税率」が適用されることになる、ということです。

暦年課税の贈与税の税率には、「一般税率」(高い税率)「特例税率」(安い税率)があります。

「特例税率」は、父母や祖父母などの直系尊属からの贈与に適用されます。

直系尊属以外からの贈与の場合には、「一般税率」が適用されます。

教育資金一括非課税贈与は、直系尊属からの贈与に該当するのですが、教育資金管理契約の終了による贈与税課税の際には、(直系尊属からもらっているのに)「一般税率」(高い税率)が適用される、ということです。

想う相続税理士秘書

(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。

想う相続税理士

こちらも、従来の取扱いができるのは、残り3ヶ月とちょっと、ということになります。

令和5年度税制改正大綱を読んでみると・・・。【教育資金の範囲の拡充】

本措置の対象となる教育資金の範囲に、都道府県知事等から国家戦略特別区域内に所在する場合の外国の保育士資格を有する者の人員配置基準等の一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けた認可外保育施設に支払われる保育料等を加える。

こちらは、教育資金の範囲の拡充部分です。

想う相続税理士秘書

(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に支払われる教育資金について適用する。

想う相続税理士

来年4月以降の支払いなら、非課税贈与が充当できます。