【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

養子縁組をすると相続人の構成が変わる

相続税専門税理士の富山です。

今回は、養子縁組と相続人の関係について、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


相続人になる人には順番がある

相続があった場合に財産を相続することができる方(相続する権利がある方)を相続人(法定相続人)と言います。

配偶者の方は、必ず相続人になります。

配偶者以外の方も相続人になりますが、そのなる方には順番があります。

  1. 第1順位:子及びその代襲者(再代襲者)
  2. 第2順位:直系尊属
  3. 第3順位:兄弟姉妹及びその子

まず、お子さんが相続人になります。

お子さんが亡くなっている場合には、そのお子さんの子供(つまり孫)が相続人になります(これを「代襲相続」と言います。お孫さんも亡くなっている場合にはさらにその子という流れ)。

第1順位の方がいらっしゃらない場合には、直系尊属が相続人になります。

この直系尊属は、まずご両親(父母)が相続人になります。

父母がいない場合には祖父母という流れになります。

第1順位の方も第2順位の方もいらっしゃらない場合には、兄妹姉妹が相続人になります。

その兄妹姉妹の方が亡くなっている場合には、そのお子さんが相続人になります(その下には行かない)。

養子縁組をすると第1順位の相続人になる

上記でお話したように、亡くなった方にお子さんやご両親などの第1順位・第2順位の方がいらっしゃらない場合には、第3順位の兄妹姉妹の方が相続人になります。

その亡くなった方に配偶者の方がいらっしゃる場合には、その配偶者と兄弟姉妹で遺産分けをすることになります。

この場合において、もし生前に養子縁組をしていた場合には、その養子の方が第1順位の相続人になりますので、兄妹姉妹は相続人ではなくなります。

相続税の非課税枠(「遺産に係る基礎控除額」)は、
3,000円+(600万円×法定相続人の数)
で計算されます。

例えば、兄妹姉妹が3人いらっしゃった場合、養子縁組する前だと、配偶者と兄妹姉妹3人の計4人が法定相続人ということになりますので、
3,000円+600万円×4人=5,400万円
が相続税の非課税枠となります。

お一人の方と養子縁組すると、配偶者と養子1人の計2人が法定相続人となりますので、
3,000円+600万円×2人=4,200万円
が相続税の非課税枠となります。

「自分の奥さんと自分の兄弟が遺産分けをすることになると大変だろうから、妻に近い人を養子縁組することにより、兄妹姉妹が遺産分けに参加しないようにしよう」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、その場合、その養子縁組をすることによって、相続税が増税になる可能性がある、ということです。

このケースで遺言を書くとどうなる?

上記の配偶者と兄妹姉妹の方が相続人となる場合において、配偶者に全財産を相続させるという遺言を残していた場合、兄妹姉妹には「遺留分」(相続人に認められた最低限の財産の取り分)がありませんので、その全財産は配偶者のモノになります。

相続税の負担はどうなる?

「相続税の2割増し課税」という制度があります。

相続で財産を取得した方が、「亡くなった方の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む)及び配偶者以外の方」の場合、相続税が2割増しで計算されるのです。

この2割増し課税の対象者だったとしても、養子縁組すれば「子」になりますので、2割増し課税の対象とはなりません。

兄妹姉妹は、第3順位の相続人として遺産分割協議により財産を取得しても、遺言により財産を取得しても、2割増し課税の対象となります。

想う相続税理士

遺言があったとしても、その遺言が有効なモノでないと、ないのと同じです。

また、複数の遺言があった場合は、原則として一番新しい遺言が有効となります。

そのような点にも注意し、何に重きを置くか、よく考えて養子縁組や遺言作成を実行に移しましょう。