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成年被後見人の方は特別障害者として障害者控除の適用が可能

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続で財産を取得した方が成年被後見人である場合の相続税の申告における障害者控除の適用について、お話します。


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相続税の申告にも「障害者控除」がある

相続税の申告においては、相続で財産を取得した方が障害者である場合、計算された相続税の金額から、障害者控除額を差し引いて申告・納税をすることができます。

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4167 障害者の税額控除
障害者控除が受けられる人
障害者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
(1) 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人
(2) 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である人
(3) 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること

相続税の申告における「障害者」の定義は?

どのような方が上記の障害者控除の適用対象になるかについては、次のように定められています。

相続税法施行令(一部抜粋)
第4条の4 障害者の範囲等
法第19条の4第2項に規定する精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一 所得税法施行令第10条第1項第1号から第5号まで及び第7号(障害者及び特別障害者の範囲)に掲げる者
二 所得税法施行令第10条第1項第6号に掲げる者のうち、その障害の程度が同項第1号又は第3号に掲げる者に準ずるものとして同項第7号に規定する市町村長等の認定を受けている者
2 法第19条の4第2項に規定する精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一 所得税法施行令第10条第2項第1号から第4号まで及び第6号に掲げる者
二 所得税法施行令第10条第1項第5号に掲げる者
三 前項第2号に掲げる者のうち、その障害の程度が所得税法施行令第10条第2項第1号又は第3号に掲げる者に準ずるものとして同条第1項第7号に規定する市町村長等の認定を受けている者

相続人の中に成年被後見人の方がいたら?

「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある」方が「後見開始の審判を受けた」場合、「成年被後見人」となり、その方には「成年後見人」が付きます。

民法(一部抜粋)
(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
(成年被後見人及び成年後見人)
第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。

成年後見人は、成年被後見人の方の利益を考えながら、代理で契約などの法律行為をすることになっています。

したがって、相続人の中に成年被後見人の方がいる場合、成年後見人の方が成年被後見人の方の代わりに遺産分割協議(法律行為)に参加します。

成年被後見人の方に不利にならないように遺産分けをすることになるため、通常は、成年被後見人の方は相続により財産を取得することになります。

成年被後見人の方は特別障害者に該当し障害者控除の適用が可能

国税庁HP・文書回答事例(一部抜粋)
別紙 成年被後見人の相続税における障害者控除の適用について
成年後見制度における成年被後見人が、所得税法施行令第10条第2項第1号に規定する「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」に該当し、所得税法上の障害者控除の対象となる特別障害者に該当するとされていることからすれば、成年被後見人は、相続税法施行令第4条の4第2項第1号の規定により、相続税法上の障害者控除の対象となる特別障害者に該当すると考えられます。

上記にあるとおり、成年被後見人の方は相続税の申告において、特別障害者として、「満85歳になるまでの年数1年(1年未満は切り上げて1年)×20万円」で計算した額の障害者控除を適用することができます(以前にも適用を受けている場合には調整計算が必要です)。

計算された相続税から障害者控除額を引き切れなかった場合には、その引き切れなかった金額を、その成年被後見人の方の扶養義務者の相続税から控除することができます。

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後見開始の審判を受けたかどうかは、登記事項証明書により確認することができます。