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生命保険契約の保険金受取人や保険料負担者が先に死亡した場合

相続税専門税理士の富山です。

今回は、生命保険契約の被保険者が死亡する前に、保険金受取人や保険契約者になっていない保険料負担者が死亡した場合の取扱いについて、お話します。

こちらの記事もご覧ください。

想う相続税理士秘書

生命保険契約に関する権利って何? 生命保険契約の名義契約者が死亡した場合や生命保険契約に関する権利相続後の課税関係

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保険金受取人が死亡したらどうなる?

死亡保険金は、被保険者が死亡した場合に、保険金受取人に支払われます。

被保険者が死亡する前に、保険金受取人が死亡したら、どうなるのでしょうか?

亡くなった保険金受取人は、死亡保険金を受け取る権利を有していたワケですから、その権利相当額を亡くなった方の相続財産として、相続税の申告において相続財産として計上しなければならないのでしょうか?

この場合、相続財産として計上する必要はありません。

保険契約者が生命保険契約を解約したら、保険金受取人は死亡保険金を受け取れなくなるからです(本当に受け取れるかどうか分からないので、実際に支払われるまでは課税されません)。

相続税法基本通達(一部抜粋)
3-34 保険金受取人が死亡した場合の課税関係
保険金受取人が死亡した時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約で当該保険金受取人が保険契約者でなく、かつ、保険料の負担者でないものについては、当該保険金受取人の死亡した時においては課税関係は生じないものとする。

保険契約者になっていない保険料負担者が死亡したらどうなる?

保険契約者:妻
保険料負担者:夫
被保険者:妻
保険金受取人:夫

夫が死亡した場合に、上記のような生命保険契約があったら、どうなるでしょうか?

被保険者は死亡していないので、死亡保険金は支払われず、生命保険契約を仮に解約した場合には、保険契約者である妻に解約返戻金が支払われます。

その解約返戻金の原資は何かというと、亡くなった夫が払い込んでいた保険料(の中の積立部分)です。

生命保険契約に関する権利って何?

上記の記事でお話したのと同じ、「生命保険契約に関する権利」です(保険契約者である妻が相続したモノとみなされ、夫の相続財産として相続税の申告で財産計上する必要があります)。

妻がこの生命保険契約に関する権利を取得することにより、契約内容はこのような感じになります。

保険契約者:妻
保険料負担者:妻
被保険者:妻
保険金受取人:夫

保険金受取人が死亡しましたので、通常は、保険金受取人を変更します。

保険契約者:妻
保険料負担者:妻
被保険者:妻
保険金受取人:子

この生命保険契約に係る保険料については、元々は夫が負担していましたが、夫の相続で妻が「生命保険契約に関する権利」を取得することにより、保険料を妻が負担しているモノと考えます。

ですから、妻が亡くなった場合、子が死亡保険金を受け取りますが、(亡くなった方が保険料を負担していた一般的な)死亡保険金として、相続税の課税対象となります。

相続税法基本通達(一部抜粋)
3-35 契約者が取得したものとみなされた生命保険契約に関する権利
法第3条第1項第3号の規定により、保険契約者が相続又は遺贈によって取得したものとみなされた部分の生命保険契約に関する権利は、そのみなされた時以後は当該契約者が自ら保険料を負担したものと同様に取り扱うものとする。

想う相続税理士

イレギュラーなパターンに出くわしたら、通達を見てみましょう。