【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

建更は死亡保険ではないので契約者変更は贈与税の課税対象

相続税専門税理士の富山です。

今回は、建更の契約者変更に対する課税について、お話します。

生命保険は被保険者が死亡しなくても相続税の課税対象

死亡保険金が下りなくても生命保険が相続税の課税対象財産になる場合がある

その財産名は「生命保険契約に関する権利」

亡くなった方がその保険契約に係る保険料を負担していて、自分以外の方に掛けていた場合、保険金の支払事由は発生していないが(保険料負担者は死亡しても、被保険者が死亡していないから)、その契約自体に財産的な価値がある(解約すればお金が返ってくる)ため、相続税の課税対象となる

死亡日時点の解約返戻金相当額で財産計上する

生命保険は契約者変更をしても非課税

保険契約に財産的な価値があるとしたら、生きている間に保険契約の契約者変更をしたら、旧契約者から新契約者に対する贈与になるのか

ならない、なるのは保険金や解約返戻金を受け取った時

国税庁ホームページ・タックスアンサー
No.4417 贈与税の対象になる生命保険金
契約者の名義を変更した場合
Q 生命保険契約の契約者の名義を変更した場合、贈与税の対象となりますか。
A 生命保険契約の契約者を変更しただけでは、贈与税は課税されません贈与税が課税されるのは、被保険者の死亡や保険期間の満期により、保険料を負担していない人が生命保険金を受け取った場合等に限られます。

建更は物に対する保険

しかし、農協の建更(建物更生共済契約)は別

上記のタックスアンサーNo.4417は、相続税法第5条がベースとなっているが、その条文は下記のとおり。

相続税法(一部抜粋等)
第5条 贈与により取得したものとみなす場合
生命保険契約の保険事故(傷害、疾病その他これらに類する保険事故で死亡を伴わないものを除く(つまり死亡を伴うもの)。)又は損害保険契約の保険事故(偶然な事故に基因する保険事故で死亡を伴うものに限る。)が発生した場合において、これらの契約に係る保険料の全部又は一部が保険金受取人以外の者によつて負担されたものであるときは、これらの保険事故が発生した時において、保険金受取人が、その取得した保険金(の一定部分)を当該保険料を負担した者から贈与により取得したものとみなす。
2 前項の規定は、生命保険契約又は損害保険契約(傷害を保険事故とする損害保険契約で政令で定めるものに限る。)について返還金その他これに準ずるものの取得があつた場合について準用する。

この条文は「保険金等を受け取った時に贈与により取得したものとみなす(みなし贈与)」という内容

建更は、上記の太字部分に該当しないので、このみなし贈与の対象外

贈与により取得したものみなされないので、保険金等は自分で稼いだ所得(所得税の課税対象)となる

さらに、上記のタックスアンサー・相続税法第5条が適用されないことから、共済契約者を変更した時に、旧契約者から新契約者に(解約返戻金相当額の)贈与があったものとみなす

想う相続税理士

通常の生命保険契約は、①「(A契約者変更時)非課税→(B保険金等受取時)贈与税」ですが、建更は、②「(A契約者変更時)贈与税→(B保険金等受取時)所得税」になります。

②Aで贈与税課税されることにより、②Bの確定申告の際、旧契約者が支払った掛金も、一時所得の計算上、経費にすることができる、という理屈になっているものと思われます。