【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

申告書を提出する前に相続人が亡くなったら?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続人が、相続税の申告書を提出する前に亡くなってしまった場合に、どう対応すればいいのか、ということについて、お話していきたいと思います。


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足利市で相続税対応税理士をお探しの方へ!亡くなった人は申告書に署名できない!

お父様が亡くなられて、お母様とご長男様、ご次男様が相続人というケースでお話します。

遺産分けの話し合いはまとまっていて、かつ、遺産分割協議書も作成済だった、続いて、相続税の申告をしようと思った矢先に、お母様が亡くなられた、というケースで考えてみたいと思います。

遺産分割協議書ができているということは、財産のリストアップが済んでいる(財産目録的なものがある)、そして、どの財産を誰が相続するかということについても決まっている訳ですから、もう後は申告書を提出するだけ、ということです。

まあ、財産の評価(その個々の財産をいくらで申告するか)という話は当然ありますけれども、それは税理士に任せればいい話ですし(もちろんご自分で計算してもOKです)、通常は、遺産分割協議書を作成する時点で、各財産の評価額と、この遺産の分け方だったら、各相続人の相続税がいくらになるか、というのが分かっている状態で遺産分割協議書に判子を押しているはずですので、財産の評価も終わっているはずです。

後は、相続税の申告書を作成して提出し、相続税を納めればいい、ということなんですけれども、その直前に相続人が亡くなってしまったということです。

この場合、申告書を作成しても、その亡くなった方(今回のパターンですとお母様)は署名ができません。

電子申告等により署名しないにしても、その申告書の内容でOKですよ、という意思表示ができません。

当然、相続税の納税もできない、ということになる訳ですけども、その場合には、どのように対応すればいいのでしょうか?

相続税の
申告は
いつまでに
どうやって
やる?

まず、原則的なことからお話しますと、そのお父様が亡くなられたことによる相続税の申告期限というのは、亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内ということになります。

今回は、その10ヶ月の間に、相続人であるお母様が亡くなられたということです。

また、相続税の申告書というのは、基本的には、各相続人が個別に税務署に申告書を提出するのではなくて、全相続人が一つの書類に連名で提出するという形になります。

ご長男様とご次男様は、申告書に署名をして、納税をする、ということができる訳ですけれども、そのお母様については、それができないということです。

足利市で相続税対応税理士をお探しの方へ!そもそも相続税の申告が必要かどうかを検証する必要がある!

誰が、そのお母様の分の申告をしなければならないか、というお話をする前に、そもそも、お母様の分の申告が必要かどうかについてのお話をしたいと思います。

財産を相続
しなければ
相続税の
申告は不要

相続税の申告をしなければならないのは、基本的に、相続や遺言により財産を取得した方、相続時精算課税制度の適用を受けて生前に財産の贈与を受けた方などです。

ですから、例えば、この場合のお母様が財産を相続していない場合、つまり、お母様は財産を全くもらわない、という内容の遺産分割協議書があり、そこに相続人全員の実印が押印されている、という場合には、そもそも、お母様は相続税の申告は不要ですので、財産を相続する方だけで相続税の申告書を提出すればいいということになります。

財産を相続
しても
相続税の
申告が不要
な場合も
ある

また、お母様が財産を相続しても、そもそも相続税の申告書を提出する必要がない、というパターンについても考えてみます。

財産の金額がそれほど多くない場合

1つ目のパターンとしては、財産の金額が、相続税の基礎控除額以下である場合です。

今回のケースですと、相続人は3人ですから、基礎控除額は
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
となり、財産の金額(お葬式の費用を引いたり、生前贈与の金額を加味したりした後の金額)が、この基礎控除額以下であれば、相続税の申告自体が不要(ご長男様、ご次男様も不要)ということになります。

宅地についての減額特例を適用している場合には注意!

ただし、ご注意いただきたいのは、財産の金額を計算する際、「小規模宅地等の特例」を適用している場合です。

これは、亡くなった方などの「居住用」「事業用」の宅地について、安く評価(例えば100坪まで8割引評価など)できる減額特例なのですが、この「小規模宅地等の特例」を適用するためには、「申告書の提出」が要件となっています。

したがって、「小規模宅地等の特例」を適用しなくても、財産の金額が相続税の基礎控除額以下であれば問題ないのですが、「適用しないと相続税の基礎控除額を超えるけれども、適用すると相続税の基礎控除額以下となる」という場合には、相続税の申告をしないと、相続税が発生してしまう、ということになります。

税額控除の適用で相続税が0になる場合がある

2つ目のパターンとしては、財産の金額が、相続税の基礎控除額を超えていても、相続税の申告が不要な場合があります。

財産の金額が、相続税の基礎控除額を超える場合、相続税の総額(財産に対する相続人全員分の相続税の合計額)が計算されます。

この計算された相続税を納めなければならないのかというと、そうではなく、その計算をした後に、各種の税額控除を受けられる場合があります。

例えば、未成年者控除や障害者控除というものがあるのですが、この適用を受けることにより相続税が0になるのであれば、相続税の申告は(一応)不要です。
「一応不要」というのは、その後の相続等を考えた場合には、申告しておいた方がいい場合が考えられるからです。

配偶者についての減額特例を適用している場合には注意!

ただし、同じ控除でも、配偶者の税額軽減の適用を受けて、相続税が0になる場合には、同じように申告不要と考えてはいけません。

なぜかというと、この配偶者の税額軽減を適用するためには、「申告書の提出」が要件となっているからです。

申告書の提出をしなければ、配偶者の税額軽減の適用を受けられませんので、申告をしないと、相続税が発生し、本来納めなくていい相続税を納めることになってしまいます。

足利市で相続税対応税理士をお探しの方へ!お母様の代わりに申告するのは誰?

では、お母様の分の申告を誰が代わりにするのでしょうか?

それは、そのお母様の相続人です。

相続税の
申告期限が
変わる

そして、そのお母様の相続人が、お母様の分の申告をいつまでにしなければならないかというと、そのお母様が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内ということになります。

当初の申告期限(お父様が亡くなってから10ヶ月以内)よりも延びるということです。

相続税の
申告書の
提出先は
変わる?

相続税の申告書の提出先はどうなると思いますか?

お父様の相続に係る相続税の申告書の提出先は、お父様の住所地の所轄税務署です。

お母様がお父様と遠く離れたところに住んでいた場合、お母様の分の申告は、お母様の住所地の所轄税務署にするのでしょうか?

そんなことはなく、本来の「お父様の住所地の所轄税務署」です。

相続税法附則3
~当分の間、~被相続人の死亡の時における住所地とする。~

足利市で相続税対応税理士をお探しの方へ!相続税の申告書の「第1表の付表1」をチェック!

今回のケースの場合、ご長男様・ご次男様は、相続税の申告書を提出する際、通常の様式に加え、「納税義務等の承継に係る明細書(兼相続人の代表者指定届出書)」という書式を提出する必要があります(どちらかの方しか相続しない場合には、提出を省略することも可能になっています)。

想う相続税理士

配偶者の税額軽減を適用すれば、配偶者の相続税は0になることが多いのですが、仮にお母様の分の相続税が出るとした場合、今回のケースですと、ご長男様とご次男様(の両方又はどちらか)が、その相続税を納めることになります。

この書式の中で、お母様分の相続税をご長男様・ご次男様間で、どのように負担するのかを明確に記載することになります。