【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続した後の「いつまで」要件に注意!

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税に関する、相続税の申告期限以外の期限について、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


相続で土地や建物、株式などを取得した場合

土地や建物、株式などを売却した場合、その売却益は「譲渡所得」として、(「総合課税」の対象となる)通常の所得とは区別して課税されます(「分離課税」)。

その売却した土地や建物、株式などが相続で取得したモノで、かつ、その取得の際に相続税を納付している場合には、売却でまた税金が課税されると税負担が重くなってしまうため、それらの財産を、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの間に売却した場合、「譲渡所得」を計算する際、その相続税の一部を経費にすることができます(「取得費加算の特例」「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」)。

ザックリ言うと、相続開始日から3年10ヶ月以内に売却した場合には、この特例を適用することができます。

これらの財産を相続で取得する際、相続税の負担が大きかった場合には、その売却日がこの3年10ヶ月以内かどうかで、売却時の所得税が大きく変わりますので、ご留意ください。

相続税の申告も、しばらくすると忘れてしまう場合があります。

所得税の申告をする際、過去の相続税の申告が関係するなんて(相続税の申告を依頼した税理士に説明を受けていても)思い出せないこともあるでしょう。

登記識別情報にメモを貼り付けておくなど、忘れない工夫が必要かもしれません。

小規模宅地等の特例の適用を受ける場合

相続税の計算においては、一定の居住用または事業用の宅地等について、その評価額を80%または50%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があります。

特例の適用パターンはいくつかあるのですが、そのパターンによっては、

  1. 所有継続要件:申告期限まで引き続きその宅地等の所有を継続しなければならない
  2. 居住継続要件:申告期限まで引き続き居住を継続しなければならない
  3. 事業継続要件:申告期限まで引き続き事業を継続しなければならない
などの、「申告期限まで続ける」という要件が課せられる場合があります。

申告期限(10ヶ月)よりもかなり前に相続税の申告書を提出してしまい、油断して10ヶ月以内に売却してしまったり、居住継続や事業継続などの要件を満たせないのに特例を適用することのないように、ご注意ください。

3年経っても遺産分けがまとまらない場合

相続税の申告期限までに遺産分けの話し合いがまとまらなかった場合には、各相続人が法定相続分で財産を相続したモノとして相続税を計算し、相続税を納付する必要があります(仮で申告する感じです)。

この場合、「小規模宅地等の特例」「配偶者の税額軽減」の適用は受けられないのですが、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくことにより、遺産分割確定後のやり直し申告において、これらの特例を適用できる可能性を残すことができます。

ただし、これも3年以内に話し合いがまとまったら、の話です。

3年経っても、まだ話し合いがまとまらない場合には、上記の分割見込書と似たような書類で「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」というモノを提出することができるのですが、こちらの書類については、税務署長の承認を得られなければ、その後に話し合いがまとまっても、アウト(特例適用不可)です。

これらの特例は、相続税をかなり安くする効果がありますので、アウトにならないよう、ご注意を。

想う相続税理士

「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」は、申告期限後3年を経過する日の翌日から2ヶ月を経過する日までに提出する必要があります。