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配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例は期限後申告でも適用可

想う相続税理士

相続税専門税理士による「相続税申告遅延の“3大ペナルティ”」の記事に軽くツッコミ!


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「配偶者の税額軽減」は申告期限後でも適用可

相続財産が多いと相続税が課税されるワケですが、その財産を築き上げ、守ることができたのは、配偶者の方の協力もあったハズです。

配偶者の方は、亡くなった方の財産形成上の最大の貢献者です。

ですから、配偶者の方が取得した相続財産については、

  1. 財産のうち配偶者の法定相続分(お子さんがいる場合には1/2)相当額
  2. 1億6,000万円
のいずれか「多い」金額まで相続税が無税になります。

「最低でも1億6,000万円」の非課税枠がある、ということです。

この制度を「配偶者の税額軽減」と言います。

この配偶者の税額軽減は、期限後申告でも適用が可能です。

相続税法(一部抜粋・加筆)
第19条の2 配偶者に対する相続税額の軽減
3 第1項の規定は、第27条(第27条 相続税の申告書)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。第5項において同じ。)又は国税通則法第23条第3項(更正の請求)に規定する更正請求書に、第1項の規定の適用を受ける旨及び同項各号に掲げる金額の計算に関する明細の記載をした書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

「小規模宅地等の特例」も申告期限後でも適用可

相続税をフルに課税すると、マズいものがあります。

それは、亡くなった方の親族や相続人の方の生活基盤となっている財産です。

相続税が高くて払えないから売るしかない、というようなことになった場合、相続税は払えても、生活基盤を失えば、今までの平穏な生活が失われかねません。

そこで、そのような生活基盤となる財産については、「最大で8割引き評価して相続税を計算していいよ」という「小規模宅地等の特例」という制度があります。

具体的には、亡くなった方や亡くなった方と生計を一にしていた親族の、居住用または事業用の宅地等です。

亡くなった方が住んでいた自宅敷地を配偶者の方が相続すれば、330㎡まで8割引きで評価できます(この適用パターンが一般的です)。

この小規模宅地等の特例も、期限後申告での適用が可能です。

租税特別措置法(一部抜粋・加筆)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
7 第1項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者の当該相続又は遺贈に係る相続税法第27条又は第29条(第29条 相続財産法人~:レアケース)の規定による申告書(これらの申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。次項において「相続税の申告書」という。)に第1項の規定の適用を受けようとする旨を記載し、同項の規定による計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

この「最低限の要件」を満たしているかチェック!

上記「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」は、10ヶ月以内の申告(期限内申告)ができなかったとしても、あきらめる必要はないのですが、適用する財産について、取得者が確定している必要があります。

配偶者の税額軽減は、取得者が配偶者だから適用が受けられるワケです。

小規模宅地等の特例は、適用要件の中に取得者要件(配偶者・同居親族・家なき子等)があります。

したがって、誰が取得するか分からない(決まっていない)財産については、適用できません。

遺産分けがモメていたりして未分割になっている場合には、適用できないということです。

全体の遺産分けは決まっていないけれども、部分的に取得者が決まっている財産がある、という場合には、その決まっている財産については適用可能です。

想う相続税理士

小規模宅地等の特例については、さらに「他の宅地等取得者の同意」が必要になる場合がありますので、ご注意を。