【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

葬式費用を細かくチェック!

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税申告における「葬式費用」の取扱いについて、お話ししたいと思います。


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相続税の計算では相続後の相続人の負担を加味してもらえる

相続税は、預貯金や土地など、プラスの価値のあるものだけを元に計算する訳ではありません。

相続によって「相続人が負担すべきお金」も考慮されます。

例えば、亡くなった方が残した借金(債務)です。

この借金は、相続人に引き継がれますので、相続人はその借金を返済する分だけ、お金が手元から無くなります。

相続によって実質的に手元に増えるのは、相続したプラスの財産を借金の返済に充てた、その残りということになります。

実際に相続した財産を返済に充てるかどうかは別として、プラスの財産を相続して得した、借金を返済することになって損した、という損得を通算して考える、ということです。

この損得通算後の金額を元に、相続税を計算します。

「葬式費用」は社会通念上、必要な費用

葬式費用も、この借金と同様です。

人が亡くなれば、通常、葬式費用がかかる、そして、それは相続人が負担しなければならない、ということになりますから、借金と同じようなもの、ということになります。

一言で「葬式費用」と言っても、その中身は様々

とはいえ、葬式にかかる費用には、いろいろなものがあります。

具体的に内容を確認するには、葬儀会社に葬儀を依頼した場合には、その葬儀会社から受け取る請求明細書を見ていただきたいのですが、この明細にあるものがすべてプラスの財産から控除できる訳ではありません。

一番注意しなくてはいけないのが、香典返戻費用です。

葬儀において参列者からいただいた香典に対するお返しにかかる費用です。

香典は、「線香やお花の代わりに亡くなった方の霊前等に供える金品」ですが、亡くなった方は、もうこの世にはいらっしゃらず、香典を受け取ることができないため、税務上は、亡くなった方の遺族に対する贈与と考えられます。

その上で、その贈与については、贈与税を課税しない、と定められています。

相続税法基本通達
21の3-9 社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする

香典返戻費用は、プラスの財産から控除できないものとして、通達で列挙されています。

相続税法基本通達
13-5 葬式費用でないもの
次に掲げるような費用は、葬式費用として取り扱わないものとする
(1) 香典返戻費用
(2) 墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料
(3) 法会に要する費用
(4) 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

私の場合、相続のお客様には、受け取る香典に税金がかからない(香典を受け取っても相続税や贈与税が増えない)代わりに、そのお返しにかかる費用については、プラスの財産から控除できない(費用がかかっても相続税や贈与税は減らない)というようにご説明しています。

また、生花やお供えにかかった費用については、

相続により通常、葬式費用が発生する、これはプラスの財産から控除してOK

それは誰が負担するかというと、通所、葬儀の主催者であり、遺族の代表者である喪主

喪主が負担したもののみプラスの財産から控除OK
ということになり、喪主が負担したものに限定して控除が認められるものと考えられます。

通夜→告別式→初七日→四十九日という流れになりますが、プラスの財産から控除できるのは、原則として告別式までの分です。

また、告別式の後に足を運ばれる火葬場での費用も控除の対象となりますし、埋葬料や納骨費用も同様と考えられます。

お通夜や告別式におけるお布施や読経料、御車代や御膳料、そして戒名料も控除の対象となります。

葬儀に関連して手伝ってくれた方などへのお礼や、来客に対する食事代についても、「葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用」「国税庁タックスアンサーNo.4129 相続財産から控除できる葬式費用」より)に該当すれば、控除の対象となります。

亡くなった方の医療費を、相続人の方が相続後にお支払いになることが多いかと思います。

これは、最初にお話した借金と同じ、相続人が負担すべき「債務」ですので、プラスの財産から控除できます。

この医療費の明細の中に、「死亡診断書の作成費用」が含まれていることが多いと思います。

これは、税務上「葬式費用」に該当するものとされています。

想う相続税理士

費用によっては領収証が発行されないものもあります。

その場合には、きちんとメモを付けておき、支出の内容を明らかにできるようにしておきましょう。