【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

子供名義・孫名義の預貯金が相続財産になる場合・ならない場合

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方の子供の名義になっている預貯金、または、孫の名義になっている預貯金が、名義預金として相続税の課税対象になる場合、ならない場合について、過去の裁決事例を元に、お話します。


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名義預金とされた事例(孫名義預金)

出典:TAINS(J41-4-01)
平03-01-18裁決

請求人は、本件定期貯金は被相続人の孫のものであり、その資金源は孫の母が毎月1~2万円の積立貯金をしてその満期時の昭和58年4月11日に本件定期貯金を設定したものである旨主張するが、本件定期貯金は同日以前からあつた定期貯金が継続されているもので、また、主張する積立金額では孫の年齢からして、到底本件定期貯金の基となつた定期貯金の額に達しないので、その主張は失当といわざるを得ない。
1)被相続人名義の他の定期貯金と本件定期貯金の届出住所、届出印鑑及び申込書の筆跡が同一であること、2)本件定期貯金の利息と被相続人名義の定期貯金の利息とを合わせて別段預金とした上で現金にしているが、これに使用された印鑑がすべて同一であること、3)被相続人には、本件定期貯金の基となつた定期貯金と被相続人名義の定期貯金を設定した頃、土地譲渡代金が入金していたこと等からすると、本件定期貯金の資金源は譲渡代金と認められ、被相続人が非課税貯蓄に着目して孫の名義を使用して、本件定期貯金を設定したものと推認することができ、原処分は相当である。

孫名義の預貯金だが、

  1. 亡くなった方の住所が届出されている
  2. 預貯金の設定時等に、亡くなった方の印鑑が使用され、書類の筆跡が亡くなった方の筆跡になっている
等により、名義預金とされています。

名義預金とされなかった事例

出典:TAINS(J105-3-06)
平28-11-08公表裁決

原処分庁は、被相続人の子(P1)の配偶者(P5)名義の各貯金(P5名義各貯金)及びP1とP5の子(P10)名義の各定期預金(P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2)について、P5及びP10に当該各預貯金を形成する資力があったとは認められず、また、当該各預貯金の管理及び運用は、被相続人及び被相続人の配偶者が共同して行っていたと認められ、そのほかに贈与があったと認められる事実もないことから、当該各預貯金は被相続人に帰属する相続財産である旨主張する。
しかしながら、P5名義各貯金及びP10名義定期預金1の原資は、いずれもP5名義の普通預金口座(P5名義口座)から引き出された金員、又はP5名義口座から引き出された金員を原資とする貯金の払戻金であると認められるところ、①P5名義口座においては、公共料金等の支払のほか小口の入出金が大半を占めていること、②当該口座はP1とP5が婚姻後早々に設定されたものであり、その印鑑票の筆跡はP5のものであること、③P1が生活費等の名目で受け取った金員はP5が管理していたこと及び④当該口座の通帳はP5が管理していたことなどの事実に照らせば、P5名義口座の預金はP5又はP1に帰属する財産であると認められ、P5名義口座から引き出された金員を原資とするP5名義各貯金及びP10名義定期預金1の出捐者が被相続人であるとは認められない。また、P10名義定期預金2については、P1を受取人とする保険の満期保険金を原資とするものであり、当該満期保険金をP1以外の者が受け取ったと認めるに足る事情や証拠資料もない以上、当該定期預金の出捐者はP1であると認められる。そうすると、P5名義各貯金、P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2の出捐者が被相続人であるとは認められず、他に当該各預貯金について、被相続人に帰属する財産であることを裏付ける事情や証拠資料も存しないから、P5名義各貯金、P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2は本件相続に係る相続財産と認めることはできない。

(亡くなった方の子供の)妻と子供の名義の預貯金は、

  1. 亡くなった方の子供の口座からお金が入金されている
  2. 預貯金口座は、生活に使われ動きがある
  3. 妻が結婚したタイミングで妻の筆跡で口座が設定されている
  4. 通帳は妻が管理している
  5. 亡くなった方の子供は、亡くなった方から生活費等の贈与を受けていたが、そのお金は自分で管理している
  6. 亡くなった方の子供が受け取った満期保険金が原資となっている
等により、名義預金ではない、とされています。

名義預金とされた事例(子供名義預金)

出典:TAINS(F0-3-509)
平28-12-12裁決

相続財産となる預貯金等の帰属については、一般的にはその名義人に帰属するのが通常であるが、預貯金等は別の名義の預貯金等への預け替えが容易にできることから、単に名義人が誰であるかという形式的事実のみにより判断するのではなく、その原資の出えん者、その管理、運用の状況、贈与の事実の有無等を総合的に勘案して預貯金等の帰属を判断するのが相当である。

本件においても、本件各定期預金は、被相続人名義ではなく、請求人ら名義であるが、親が子供の名前を使用して預金等をすることはまれではない。そうすると、本件においては、本件各定期預金の原資の出えん者は亡B若しくは被相続人又はその両名であったが、亡Bの財産はその死亡前に被相続人に大半を移転されていたこと、本件各定期預金について、相続開始日までの間、その管理・運用を行っていたのが被相続人であること、及び本件各定期預金又はその原資の贈与が認められないことを考え併せれば、本件各定期預金は、相続開始日において、被相続人に帰属した財産であり、相続財産であると認められる。

当該贈与に関する書面は作成されておらず、また、子■■は、本件各■■名義定期預金又はその原資の贈与を受けたとして贈与税の申告をしたことはなく、子■■の上記答述等を裏付けるに足りる証拠はない。

子供名義の預貯金だが、

  1. 亡くなった方がずっと管理・運用をしていた
  2. 贈与されたことを証する書面は作成されておらず、その他これを証する書類等の存在は認めらない
  3. 贈与税の申告をしていない
等により、名義預金とされています。

想う相続税理士

名義預金に、ご注意を。