相続税専門税理士の富山です。
今回は、夫婦それぞれがご自分の親から資金援助を受けて、ご自宅を新築した場合の住宅取得等資金の非課税贈与の適用可否について、お話します。
夫婦が土地と家屋をバラバラに取得した場合
誤りやすい項目集(資産税関係)
令和6年12月
関東信越国税局 資産課税課(一部抜粋加工)
【誤り事例4】
甲(夫)と乙(妻)は、令和6年にそれぞれの父から住宅取得等資金の贈与を受けた。甲(夫)は、贈与を受けた資金により土地を購入し、乙は贈与を受けた資金と自己資金により、甲の購入した土地の上に自宅を新築した。
なお、甲と乙は令和7年3月15 日までに新築した自宅に居住を開始していることから、甲、乙共に「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例(措法70 条の2)」を適用して申告をした。
※ 家屋は乙の単独取得である。
マイホームの取得を検討していて、家を建てる時には資金援助するよ、とそれぞれの親に言われていたご夫婦がいて、いい土地が見つかったので夫がすぐさま親からの贈与資金を元手にその土地を購入できたのはいいものの、お金が無くなってしまったので、今度は妻がご自分の親からの贈与資金を元手に、その土地の上に家屋を新築したとします。
土地を夫が所有し、家屋を妻が所有する、ということになります。
この場合、夫か妻のどちらかは、住宅取得等資金の非課税贈与の特例を適用することができません。
さて、適用できないのは、どちらでしょうか?
家屋を所有しない(家屋の持分を取得しない)と特例は適用できない
⇒ 甲は、取得した土地の上に令和7年3月15 日までに住宅用家屋を新築していないことから、この特例を適用することはできない。
【留意事項4】
「住宅取得等資金」の範囲には、住宅用家屋の取得だけでなく、住宅用家屋の新築に先行してするその敷地の用に供される土地等の取得のための資金も含まれます。
ただし、贈与を受けた翌年3月15 日までに、取得した土地等の上に住宅用家屋を新築・取得していない場合は、住宅取得等資金の贈与税の非課税及び相続時精算課税選択の特例の適用はありません。
したがって、上記事例のように、期限までに取得した土地上に住宅用家屋が新築され、居住を開始した場合であっても、贈与を受けた本人が家屋を新築し、その家屋に持分を有していない場合には特例を適用することができないことに留意してください。
上記のケースの場合、夫は家屋を所有していないため、特例を適用することができません。
土地取得のための贈与資金も特例の対象になるのですが、その受贈者が、その取得した土地の上の住宅用家屋を所有することにならないと、特例は適用できないのです。
想う相続税理士