相続税専門税理士ブログ

相続税の超過物納が認められる要件とは?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の物納をする際、どのような場合に超過物納が認められるか、ということについて、お話します。

土地しか相続しなくても現金で相続税を納付する

相続税は、納付期限までの金銭一括納付が原則です。

それができない場合には、例外的に、延納により納付できるかどうかを検討します。

延納が認められた場合には、「年賦延納」と言いますが、年1回ずつ、複数年に渡って納付することになります。

分割納付が認められ、今すぐ全額を納付しなくてもよくなったとしても、相続税を納める原資を生み出すことができなければ、その分割納付もできません。

延納によっても金銭納付することができない場合、一定の要件に該当すると、物納が認められます。

物納はピッタリの金額で納める

物納が認められた相続税の金額が1,000万円だとします。

でも、物納したい(できる)土地の相続税評価額が1,500万円だとします。

この場合、この1,500万円の土地を物納すると、相続税を500万円(物納で)納め過ぎ、ということになります(これが「超過物納」です)。

この「納め過ぎ」の部分については、所得税の確定申告と同じように、お金で還付してもらえます。

相続税法基本通達(一部抜粋加工)
41-4 政令で定める額を超えて物納を許可する場合
法第41条第1項の規定により、政令で定める額を超える価額の物納財産による物納を許可する場合において、当該財産の収納価額と当該許可に係る相続税額の差額は、金銭をもって還付するものとする。

結果的に、1,000万円部分は「相続税の納付」であり、500万円部分は「国に土地を売った」ことになるため、この500万円部分は、譲渡所得の対象となります。

国税庁HP質疑応答事例(一部抜粋加工)
超過物納に係る過誤納金に対する譲渡所得の課税
金銭による納付を困難とする相続税額を超える価額の財産により物納された場合において、金銭をもって還付されることとなる当該財産の超過物納部分については、通常の譲渡の場合と同様に譲渡所得の課税対象となります
この場合の課税時期は、相続税法第43条第2項の規定により納付があったものとされる日(引渡、所有権移転の登記その他法令により第三者に対抗することができる要件を充足した日)となります。
なお、譲渡所得等の計算においては、国への譲渡として優良住宅地等のための譲渡の軽減税率の特例(措法31の22一)、短期譲渡所得の軽減税率の特例(措法323)の適用があり、相続税の申告期限から3年以内の物納の場合には相続税額の取得費加算の特例(措法39)の適用があります。

ただし、この超過物納が認められるのは、「やむを得ない事情があると認められるとき」です。

認められなければ、1,000万円分だけ土地を切って(分筆)して物納します。

超過物納が認められる要件とは?

その財産を物納許可限度額に合わせて切ると大きな不都合が生じる場合や、切れない財産として、税務署長が認める場合には、超過物納が認められます。

相続税法基本通達(一部抜粋)
41-3 やむを得ない事情があると認めるとき
法第41条第1項において、「物納財産の性質、形状その他の特徴により当該政令で定める額を超える価額の物納財産を収納することについて、税務署長においてやむを得ない事情があると認めるとき」とは、次のような場合をいう。
① 当該財産が土地の場合で、当該政令で定める額に相当する価額となるように分割しようとするときには、分割後に物納に充てようとする不動産(以下「分割不動産」という。)又は分割不動産以外の不動産について、例えば、分筆することにより、その地域における宅地としての一般的な広さを有しなくなるなど、通常の用途に供することができない状況が生じることとなると認められる場合
② 建物、船舶、動産などのように、分割することが困難な財産である場合
③ 法令等の規定により一定の数量又は面積以下に分割することが制限されている場合

想う相続税理士

超過物納による譲渡所得を計算する場合の「相続税額の取得費加算の特例」の適用に当たっては、一定の調整計算が必要となりますので、ご注意を。