【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

令和6年からの贈与税の課税方法選択時の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、令和6年から改正される贈与税について、課税方法(暦年課税・相続時精算課税)を選択する際の注意点について、お話します。


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暦年課税贈与のデメリットは生前贈与加算

なぜ贈与をするかというと、多くの場合、相続税を安くするためです。

生前に贈与をしておけば、相続の時に相続財産にならず、相続税が課税されないからです。

この時に気を付けなければならないのは、「税率」「相続税の計算構造」です。

「税率」とはどういうことかというと、暦年課税贈与は財産の金額が多額になると、税率が跳ね上がってしまうため、相続税の税率(税負担)よりも低い税率(税負担)で財産を移転しないと、逆に高い税金を支払うことになってしまうのです。

「相続税の計算構造」とはどういうことかというと、相続税の計算には「生前贈与加算」という制度があり、一定の場合、「生前に贈与をしても相続の時にその贈与財産に相続税が課税される」仕組みがあるのです。

暦年課税贈与をする場合には、この生前贈与加算の仕組みに注意する必要があります。

生前贈与加算の対象範囲と対象者

生前贈与加算の対象範囲は、現行で相続開始前3年以内、これが、税制改正で今後、7年に延びていきます。

生前贈与加算の対象者は、

「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人」
(国税庁HPタックスアンサーNo.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税))

です。

上記に該当しなければ、ザックリ言うと、相続で財産を取得しなければ、生前に贈与を受けていても、その贈与財産に相続税は課税されません。

ただし、ここで注意しなければならないのは、

  1. 相続人ではない方でも遺言で財産をもらった方
  2. 相続人ではない方でも死亡保険金を受け取った方

も生前贈与加算の対象になる、ということです。

上記の方たちは、相続人と遺産分割協議をしないワケですが、相続で財産を取得しているため、生前贈与加算の対象者になります。

逆に、相続人でも、相続で財産を取得しなければ、生前贈与加算の対象者になりません。

相続時精算課税贈与は届出書の提出が必須

相続時精算課税贈与については、令和6年分から、110万円以下の場合には申告が不要になりました。

さらに、この110万円以下の場合には、贈与税もかからないし、将来的に相続税もかかりません。

何となく、暦年課税贈与の110万円と雰囲気が似ているのですが、決定的に異なる点があります。

それは、「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要、ということです。

申告は不要でも、届出書の提出は必要です。

この届出書の提出を忘れると、その贈与は「暦年課税贈与扱い」になってしまいます(生前贈与加算の対象になる可能性が出てきます)。

届出書を提出しても贈与が成立していないとダメ

また、そもそも論なのですが、この届出書の提出をしても、その110万円以下の資産の移転が実質的に「贈与」でなければ、非課税メリットは享受できません。

子供が届出書をちゃんと提出していても、親が子供の知らないところで子供名義の口座にお金を振り込んでも、贈与が成立していなければ、そのお金は親のモノ、つまり親が亡くなった時には相続財産に該当してしまいます(いわゆる「名義預金」)。

想う相続税理士

令和6年からは、相続時精算課税を選択すれば、(生前贈与加算されない)駆け込み贈与が可能になります。

ただし、この場合も、その贈与時の贈与者に意思能力がある(贈与が成立している)ことが前提ですので、ご注意を。