【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税の申告書を提出しなければならないのは誰?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告書の提出義務者について、お話します。


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相続税の申告書の提出義務者とは?

相続税法基本通達(一部抜粋)
27-1 相続税の申告書の提出義務者
相続税の申告書を提出しなければならない者は、相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下27-8までにおいて同じ。)によって財産を取得した者で、その取得した財産につき法第19条の2第1項並びに措置法第69条の4第1項、第69条の5第1項、第69条の6第1項並びに第70条第1項、第3項及び第10項の規定の適用がないものとして計算した場合において納付すべき相続税額があるものに限られるのであるから留意する。

上記の条文を分解してみましょう。

まず、出だし部分ですが、

  1. 相続により財産を取得した者
  2. 遺贈により財産を取得した者
  3. 相続時精算課税贈与により財産を取得した者

に限定されています。

ザックリ言うと、「相続で財産を取得した相続人の方」だけでなく、「遺言により財産を取得した相続人以外の方」や、相続で財産を取得しなくても、生前に「亡くなった方から相続時精算課税により贈与を受けた方」も含まれます。

申告書の提出義務には他の条文が絡んでくる?

上記条文の途中に、条文番号が列挙されています。

これらの条文の内容は、次のとおりです。

  • 法第19条の2第1項・・・第19条の2 配偶者に対する相続税額の軽減
  • 措置法第69条の4第1項・・・第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
  • 第69条の5第1項・・・第69条の5 特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例
  • 第69条の6第1項・・・第69条の6 特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例
  • 第70条第1項、第3項及び第10項・・・第70条 国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等

それぞれ、特例を規定する条文です。

最初の2つがメジャーなモノですよね。

「配偶者に1億6,000万円の非課税枠を認める配偶者の税額軽減」「ご自宅の敷地などの評価額を最大8割減(20%分だけ計上すればいい)できる小規模宅地等の特例」です。

想う相続税理士秘書

単純に「相続税が出る方=納税義務者」ではない!

上記の特例を適用することで、財産の計上額を減らせたり、計算された相続税を減らせたりするのですが、これらの特例と相続税納税の有無の関係に焦点を当てると、次の3パターンに分けられます。

  1. これらの特例を適用しても相続税が出る
  2. これらの特例を適用すると相続税が出ないが、適用しないと相続税が出る
  3. これらの特例を適用しなくても相続税が出ない

最終的に相続税が出るのは①、相続税が出ないのは②③、の場合です。

この相続税が出る①の場合だけ、相続税の申告をしなければならないのかというと、そうではなく、通達の条文を見ると、条文番号を列挙した上で、(これらの)「規定の適用がないものとして計算した場合において納付すべき相続税額があるものに限られる」としていますから、①②③が「特例を適用しない状態で相続税が出る」に当てはまるかどうかを考えます。

  • ②は、特例を適用しないと相続税が出るので、当てはまります。
  • ①は、特例を適用しても相続税が出るのですから、特例を適用しなくても相続税が出るため(適用しなければ相続税がもっと増えます)、当てはまります。
  • ③は、当てはまりません。

つまり、相続税の申告をしなければならないのは、①②に該当する方、ということです。

想う相続税理士

逆に言えば、特例を適用するためには、相続税の申告をしなければならない、ということです。