【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

死亡後に支給額が確定した生前退職金の相続税申告における取扱い

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方の生前退職金の金額が死亡後に確定した場合の相続税申告における取扱いについて、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


死亡前に退職して死亡後に退職金の支給額が確定した場合

死亡後に支給額が確定した退職金については、相続税法基本通達にて、次のように規定されています。

相続税法基本通達(一部抜粋加工)
3-31 被相続人の死亡後支給額が確定した退職手当金等
被相続人の生前退職による退職手当金等であっても、その支給されるべき額が、被相続人の死亡前に確定しなかったもので、被相続人の死亡後3年以内に確定したものについては、法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等に該当するのであるから留意する。

上記の「法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等」とは、

相続税法(一部抜粋加工)
第3条 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合
次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす
二 被相続人の死亡により相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであつた退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(政令で定める給付を含む。)で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては、当該給与の支給を受けた者について、当該給与

からお分かりのとおり、「みなし相続財産」としての死亡退職金であり、

相続税法(一部抜粋加工)
第12条 相続税の非課税財産
次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
六 相続人の取得した第3条第1項第2号に掲げる給与(以下この号において「退職手当金等」という。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分
イ 第3条第1項第2号の被相続人のすべての相続人が取得した退職手当金等の合計額が500万円に当該被相続人の第15条第2項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「退職手当金等の非課税限度額」という。)以下である場合当該相続人の取得した退職手当金等の金額
ロ イに規定する合計額が当該退職手当金等の非課税限度額を超える場合 当該退職手当金等の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した退職手当金等の合計額の占める割合を乗じて算出した金額

からお分かりのとおり、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用できます。

死亡前に退職して死亡前に退職金の支給額が確定した場合

死亡前に支給額が確定した退職金については、所得税の課税対象となります。

ただし、退職金には「退職所得控除額」があり、さらに、その退職所得控除額を控除した残額の2分の1に対して税金が計算される(「2分の1課税」)ため、税負担は通常の収入(所得)よりも少なくなります。

想う相続税理士秘書

所得税の課税を受けて(所得税等が差し引かれて)支給された退職金は、「現預金」です。

その支給後に退職された方が亡くなった場合には、「現預金」として相続税の課税対象となります。

もう「現預金」になってしまったら、元が何だったか(退職金だったか家賃収入だったか)は関係ないため、「500万円×法定相続人の数の非課税枠」なんて話は出てきません(みなし相続財産ではありません)。

確定後で支給前に亡くなった場合には、「未収入金」となり、こちらも本来の財産となります(「みなし相続財産」ではありません)。

想う相続税理士

死亡時に退職金の支給額が確定していない場合、その支給を受ける権利も相続人の方などに発生していない、と考えられるため、死亡後に退職金が支給されるとしても、通常の「本来の財産」として取扱いません。

どう取り扱うかというと、死亡に伴い支給される死亡退職金と実質的に同じ、と考えられるため、死亡退職金と同様に取扱われます。