【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

贈与税の時効と名義預金と非課税贈与特例のやっかいな問題

相続税専門税理士の富山です。

今回は、名義預金から発生する問題について、お話します。


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贈与税の時効は6年または7年

国税の時効は原則5年ですが、贈与税の時効は6年であり、さらに、悪質な場合には、7年に延びます。

国税通則法
第70条 国税の更正、決定等の期間制限(一部抜粋)
次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から5年を経過した日以後においては、することができない。

72条 国税の徴収権の消滅時効
国税の徴収を目的とする国の権利は、その国税の法定納期限から5年間行使しないことによつて、時効により消滅する。

相続税法
第36条 贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則(一部抜粋)
税務署長は、贈与税について、国税通則法第70条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正若しくは決定又は賦課決定を当該各号に定める期限又は日から6年を経過する日まで、することができる。
4 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた贈与税についての更正決定若しくは賦課決定又は偽りその他不正の行為により国税通則法第2条第9号に規定する課税期間において生じた同条第6号ハに規定する純損失等の金額が過大にあるものとする同号に規定する納税申告書を提出していた場合における当該納税申告書に記載された当該純損失等の金額についての更正は、前3項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正決定又は賦課決定の区分に応じ、当該各号に定める期限又は日から7年を経過する日まで、することができる。

名義預金はそのお金の異動が贈与になっていないことが問題

「贈与税の時効が最長でも7年なら、7年超前の贈与は贈与税の時効が成立している」と考えるのは危険です。

それは、「贈与が成立している」ことが大前提だからです。

親が子供名義の預金口座を開設して、毎年お金を異動していたとします。

お金が子供名義になっているから贈与(が成立している)、というワケではありません。

子供が預金口座の存在を知らなかったり、親が子供名義の口座を管理・支配しているような場合、贈与は成立していませんので、その子供名義の預金は、親が子供の名前を借りて積んでいる「名義預金=親の財産=親が亡くなった時の親の相続財産」となります。

贈与が成立していないので、時効の話は出てきません。

贈与税の課税対象にすらなっていない、ということです。

名義預金で非課税贈与対象の費消をする場合に問題が起きる

上記の名義預金が問題になるのは、親が亡くなった時に相続財産として課税される時だけではありません。

その名義預金(親の財産)のお金を使って子供が家を建てる、という場合に問題が起きます。

通常、親から子供に住宅取得等資金を贈与した場合には、贈与税の非課税特例があります。

他にも、結婚・子育て資金や教育資金の贈与に関する贈与税の非課税特例があります。

想う相続税理士秘書

ただし、その特例を受けるためには、申告期限内の贈与税の申告が必要となります。

その名義預金のお金を使う際、子供がその名義預金を自分のお金だと考えていれば、当然、贈与税の申告はしないでしょう。

しかし、これだと、税務署に「親のお金で家を建てたので贈与税を課税します」と指摘されるリスクがあります。

指摘された後に、じゃあ非課税特例を使おうと、申告期限内の贈与税の申告をしようと思っても、申告期限を過ぎているためできません。

子供が、「この預金は自分の名前になっているけど親のモノだ」と考えた場合、既に自分の名前になっちゃっている預金を、親からどう贈与を受ければいいのか、というもっと難しい問題にぶち当たってしまいます。

このような場合には、その名義預金を真の所有者である親名義にいったん戻してから、その後、きちんと贈与を成立させて、子供名義にすることも検討しましょう。

想う相続税理士

その預金が元々は名義預金であることをきちんと税務署に明らかにできるよう、預金口座開設・預金残高形成の経緯のメモや、関係書類をきちんと残しておきましょう。