【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税の申告で債務や葬式費用が引ける場合・引けない場合

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告における債務控除について、お話します。

相続税の計算をする場合には、土地や預貯金などの財産だけを対象とするのではなく、そこから亡くなった方が残した借入金などの「債務」や葬儀にかかった「葬式費用」を差し引いて計算することができます(差し引けば、その分、相続税が安くなります)。

これを「債務控除」と言います。


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相続を放棄した方が債務を負担した場合

長男は、多額の生命保険金を取得することから、相続放棄をし、土地や預貯金などの財産については、他の兄弟(二男・三男)で分けてもらうことにしました。

遺産としての土地や預貯金などはそれほど金額も大きくなかったため、多額の生命保険金を取得した長男は、他の兄弟から、亡くなった方が残した借入金を負担して欲しい、と言われたとします。

この場合、相続放棄をしていても、債務控除する(相続税の計算の際に死亡保険金から借金を差し引いて相続税を計算する)ことは可能なのでしょうか?

相続税法(一部抜粋)
第13条 債務控除
相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が~

相続放棄をすると、相続人ではなくなるため、プラスの財産が相続できないのはもちろん、債務も引き継げません(包括受遺者となった場合を除く)。

したがって、債務控除はできない、ということになっています。

相続人ではないが遺言で土地を取得した方が債務を負担した場合

相続人は長男・二男・三男なのですが、亡くなった方が自分の兄弟(長男達から見た叔父さん)に遺言により株式をあげた場合、この叔父さんに亡くなった方の借入金を負担してもらったら、その叔父さんは株式から借入金を差し引いて相続税を計算(債務控除)することはできるのでしょうか?

この場合、叔父さんは相続人ではなく(相続人は長男・二男・三男)、また、包括遺贈ではなく特定遺贈(具体的に財産を指定して遺言であげること)で株式を取得しているため、上記同様、債務控除はできません。

相続を放棄した方が葬式費用を負担した場合

上記の相続放棄をした長男が、他の兄弟から、債務が債務控除できないのなら、葬式費用を負担してくれ、と言われた場合、債務控除する(相続税の計算の際に死亡保険金から葬式費用を差し引いて相続税を計算する)ことは可能なのでしょうか?

相続税法基本通達(一部抜粋)
13-1 相続を放棄した者等の債務控除
相続を放棄した者及び相続権を失った者については、法第13条の規定の適用はないのであるが、その者が現実に被相続人の葬式費用を負担した場合においては、当該負担額は、その者の遺贈によって取得した財産の価額から債務控除しても差し支えないものとする。

相続を放棄した方でも、葬式費用であれば債務控除が可能です。

想う相続税理士

香典返戻費用は、債務控除の対象とはなりませんので、ご注意を。