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死亡保険金の受取人が既に死亡している・相続放棄している場合

相続税専門税理士の富山です。

今回は、死亡保険金の受取人が先に死亡している場合や、相続放棄している場合の、死亡保険金に係る相続税の計算について、お話します。

既に死亡している保険金受取人と相続放棄をした保険金受取人

次のようなケースでは、相続税の計算において死亡保険金はどのように取り扱われるでしょうか?

独身の長男が亡くなりました。
長男の両親のうち、父は既に亡くなっています。
母は健在です。
長男は3人兄弟で、二男と三男がいます。
長男は自分に生命保険を2つ(A社・B社)掛けていました。
A社の死亡保険金900万円は受取人が父(既に死亡)になっています。
B社の死亡保険金900万円は受取人が母になっています。
母は長男の相続について相続放棄をしています。

相続人になるのは誰?

「相続人になる人」には順番があります。

配偶者は、必ず相続人になります。

配偶者以外は、

  1. 第1順位:子供(既に死亡している場合にはさらにその子供などの直系卑属)
  2. 第2順位:父母(や祖父母)などの直系尊属(亡くなった方に近い方)
  3. 第3順位:兄弟姉妹
の順に相続人になります。

亡くなって誰もいなかったり、相続放棄をしたりすると、次の順位に移ります。

既に死亡した父が受取人になっている死亡保険金は誰のモノ?

A社の死亡保険金900万円は、受取人である父の相続人のモノになります。

保険法(一部抜粋)
(保険金受取人の死亡)
第四十六条 保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。

この場合、長男は既に亡くなっていますので、母・二男・三男が受取人になります。

母は相続放棄をしていますが、相続放棄をしても、死亡保険金を受け取ることができます。

そして、その取得割合は「等分(頭割り)」です。

母が半分(50%)、残りを二男と三男が半分ずつ(25%)ではありません。

ですから、母300万円・二男300万円・三男300万円です。

出典:TAINS(Z999-5303)
最高裁判所第三小法廷平成2年(オ)第1100号保険金請求事件(棄却)(確定)
平成5年9月7日判決(一部抜粋加工)

商法676条2項の規定の適用の結果、指定受取人の法定相続人とその順次の法定相続人とが保険金受取人として確定した場合には、各保険金受取人の権利の割合は、民法427条の規定の適用により、平等の割合になるものと解すべきである。

けだし、商法676条2項の規定は、指定受取人の地位の相続による承継を定めるものでも、また、複数の保険金受取人がある場合に各人の取得する保険金請求権の割合を定めるものでもなく、指定受取人の法定相続人という地位に着目して保険金受取人となるべき者を定めるものであって、保険金支払理由の発生により原始的に保険金請求権を取得する複数の保険金受取人の間の権利の割合を決定するのは、民法427条の規定であるからである。

民法(一部抜粋)
(分割債権及び分割債務)
第四百二十七条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

死亡保険金は受取人固有の財産

上記のA社の死亡保険金のところでもお話しましたが、受取人が相続放棄をしても、死亡保険金を受け取ることができます。

死亡保険金は「相続財産ではない」からです。

B社の死亡保険金900万円は、受取人として指定されている母のモノになります。

死亡保険金の非課税枠はどう適用する?

現時点で、それぞれの方が受け取った死亡保険金の金額をまとめてみます。

母:300万円+900万円=1,200万円
二男:300万円
三男:300万円

死亡保険金には、
500万円 × 法定相続人の数
で計算される非課税枠(非課税限度額)があります。

この「法定相続人の数」とは、相続の放棄をした方がいても、その放棄がなかったモノとした場合の相続人の数をいいます。

ただし、この非課税枠が適用できるのは相続人であり、その相続人は、相続を放棄した者を含みません。

非課税枠はいくら?

非課税枠は、
500万円×1人=500万円
です。

長男の相続人は母1人(父は既に死亡)だからです。

母は相続放棄をしていますが、「法定相続人の数」は、その放棄がなかったモノとして計算します。

非課税枠を適用できるのは誰?

母は相続放棄をしているので、非課税枠を適用できません。

二男と三男はどうでしょうか?

母は「第2順位」の相続人でしたが、母が相続放棄したことにより、相続人は「第3順位」「兄弟姉妹」に移ります。

母の相続放棄により、二男と三男が相続人になります。

したがって、二男と三男は非課税枠を適用することができます。

非課税枠は取得した死亡保険金の割合で按分します。

同額の死亡保険金を受け取っているため、非課税枠も半分ずつ(250万円ずつ)適用することになります。

想う相続税理士

二男と三男は、「亡くなった方の一親等の血族及び配偶者以外の方」に該当するため、相続税が2割増しで計算されます(母は一親等の血族であるため、割増課税の対象外です)。