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【税理士が解説】庭内神しの贈与は非課税?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、庭内神しに係る相続税・贈与税の取扱いについて、お話します。


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「庭内神し」とは?

約10年前に、国税庁から相続税の非課税財産の範囲を変更する旨の公表がありました。

何の話かというと、「庭内神し」の敷地の話です。

「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者又は地域住民等の信仰の対象とされているものをいいます。

「庭内神し」自体は、元々、相続税の非課税財産とされていました。

相続税法
第12条 相続税の非課税財産(一部抜粋)
次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

相続税法基本通達
12-2 祭具等の範囲
法第12条第1項第2号に規定する「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいうのであるが、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれないものとする。

平成24年の東京地裁の判決結果を受けて、その敷地についても、相続税の非課税規定の適用対象とする、とされました。

自宅の庭の一角に、弁財天を祀るための祠(ほこら。神をお祀りする小規模な殿舎)と鳥居があるような場合、その祠や鳥居だけでなく、その敷地も非課税になる、ということです。

想う相続税理士秘書

祠の敷地なら何でも非課税というワケではない!

「庭内神し」の敷地が、必ず相続税の非課税財産になるか、というと、そうではありません。

  1. 「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形
  2. その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的
  3. 現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面
から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備

である場合のみ、相続税の非課税財産に該当する、とされています。

贈与税の非課税財産には該当しない!

上記の話は、あくまで相続税の話です。

例えば、自宅の敷地を贈与した場合に、その敷地に庭内神しがあったとしても、その庭内神しやその敷地は贈与税の課税対象となります。

ちなみに、手元にある専門書の目次の「贈与税の非課税財産」の項目は次のとおりです。

  1. 法人からの贈与により取得した財産
  2. 扶養義務者から生活費や教育費として贈与を受けた財産
  3. 公益事業用財産
  4. 一定の特定公益信託から交付を受ける金品
  5. 心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
  6. 公職選挙の候補者が贈与により取得した財産
  7. 特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
  8. 社交上必要と認められる香典等
  9. 相続開始の年に被相続人から贈与を受けた財産

想う相続税理士

贈与税が非課税となる財産は上記のみであり、庭内神し関連のものは含まれていませんので、ご注意を。