【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税専門税理士㊙カード17【小規模宅地等の特例】


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


相続税申告における小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例の趣旨

相続財産の中に土地があり、その土地に財産的な価値があるからと言って、それに対して相続税をフツーに課税すると、納税資金がない場合、納税資金を捻出するためにその土地を売却したり、物納を選択せざるを得なくなったりする

しかし、それにより親族が住むところを奪われたり、生活の糧を得るための場所を失うと、相続税の課税が生活基盤を崩壊させることに繋がってしまう

そこで、一定の要件を満たす居住用や事業用の土地については、相続税評価額を最大で80%減額して申告することができるようになっている

注意すべき点

相続で財産を取得した方が相続開始前3年以内に贈与により取得した財産がある場合には、その贈与財産も相続税の課税対象となるが、上記の一定の要件を満たす居住用や事業用の土地を相続開始前3年以内に贈与により取得しても、小規模宅地等の特例は適用できない、つまり、相続で取得した土地が対象

同様に、相続時精算課税による贈与財産も、上記の一定の要件を満たす居住用や事業用の土地だったとしても、小規模宅地等の特例は適用できない

対象となる土地

相続開始直前において、亡くなった方、または、亡くなった方の生計一親族の
居住用または事業用の土地で
建物または構築物の敷地の用に供されている一定の土地

特例の適用を受けるために必要なこと

相続税の申告書を提出する(特例の適用により相続税がゼロになる場合でも)

どの土地に小規模宅地等の特例を適用するか、特例の対象となり得る土地を取得した全ての親族の同意を得る(得たことを申告書に記載する)

特例適用土地に関する同意の必要性

上記の同意が必要なのはなぜか

実は、小規模宅地等の特例には適用を受ける土地について、「○○○㎡以下じゃなくちゃダメ!」という面積に関する限度(枠)が設けられており、対象となる土地がたくさんあっても、その全部に対して小規模宅地等の特例を適用できるワケではない

例えば、相続人Aさんが取得した330㎡の土地があり、また、相続人Bさんが取得した330㎡の土地がある場合で、ともに特例の対象となる土地であり、小規模宅地等の特例の限度面積が330㎡だったとすると、Aさんの土地で特例の適用を受けるか、Bさんの土地で特例の適用を受けるか、または、330㎡の枠をAさんとBさんで分けっこするかを決めなければならない

Aさんにとって一番いいのは、その枠を全部自分が取得した土地に使うこと

自分が取得した土地を2割評価(80%減額)で計算できれば、自分の相続税が大幅に安くなるから

これはBさんにとっても同じ

つまり、どちらかが譲らなければならない(または、枠を分けっこしなければならない)

 これは「争いの元になり得る」ということ

そこで、相続税の計算上、特例の適用を譲った形になっている親族が、小規模宅地等の特例の適用を他の親族に譲ることについて同意したことを申告書上で明らかにしなければ特例の適用は受けられない、という仕組みになっている

モメて同意が得られず、小規模宅地等の特例が適用できないよりは、仮に自分が取得した土地に小規模宅地等の特例を適用できなくても、他の誰かが取得した土地に小規模宅地等の特例を適用できれば、自分の相続税も安くなる(相続財産全体の金額が小さくなり、適用される税率が低くなるため)ため、モメない方がトク

誰が取得した土地に小規模宅地等の特例を適用すれば最も全体の相続税が安くなるか、を考えるのも一つの手、評価額の「単価」と特例を適用できる「面積」で検討する

特例の適用を譲る親族の方が、その分、他の財産を多めに相続することにする、ということで話をまとめるのも一つの手