【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

土地の賃貸借を開始する場合の課税上の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、土地の賃貸借をスタートする場合の税金の注意点について、お話します。


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権利金を収受する取引慣行があるか

財産評価基本通達(一部抜粋)
27 借地権の評価
借地権の価額は、その借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、当該価額に対する借地権の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した借地権の価額の割合(以下「借地権割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める割合を乗じて計算した金額によって評価する。ただし、借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払うなど借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域にある借地権の価額は評価しない。

上記の太字部分の裏を返せば、借地権の設定に際し権利金を収受する取引慣行がある地域においては、土地の賃貸借に伴い、地主の方に対して、借地人の方が権利金を支払うことが前提となっている

この場合、権利金の金額が、土地の時価の
2分の1超の場合→譲渡所得として取扱われる
2分の1以下の場合→不動産所得として取扱われる

想う相続税理士

その権利金の金額によって、地主はもらった権利金の申告の方法が2パターンに分かれる、ということです。

所得税法施行令(一部抜粋)
第79条 資産の譲渡とみなされる行為
法第33条第1項(譲渡所得)に規定する政令で定める行為は、建物若しくは構築物の所有を目的とする地上権若しくは賃借権又は地役権の設定のうち、その対価として支払を受ける金額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額の10分の5に相当する金額を超えるものとする。
一 当該設定が建物若しくは構築物の全部の所有を目的とする借地権又は地役権の設定である場合 その土地の価額

権利金の授受がないと「権利金の認定課税」の問題が生じる

権利金の授受があってしかるべき地域でも、親族間の賃貸借であったり、同族会社との賃貸借である場合、(身内間の取引なので)わざわざ権利金なんて払わない・もらわない、というケースもある

こうなると、借地人は、本来であれば権利金を支払わなければ借りられない(借地権をゲットできない)にも関わらず、タダで借りられる(借地権をゲットできる)ということになる

つまり、借地権をタダでゲットするという経済的利益を享受することになるので、そこに税金(法人税や所得税や贈与税)がかかる(これが「権利金の認定課税」

土地の賃借は、ザックリ言うと、権利金を支払うことにより借地権(土地の上の部分)をゲットし、ゲットしていない底地部分(土地の下の部分)に対して地代を払う、という感じの取引になります。

想う相続税理士秘書

借地権が発生しないのであれば課税されない

でも、権利金の授受をしない代わりに(土地の上の部分をゲットしない代わりに)、その分、高額な地代(「相当の地代」と言います)を支払う(土地の下の部分だけでなく、ゲットしていない土地の上の部分に対しても地代を支払うから高額になるという理屈)のであれば、借地権をタダでゲットしていない、という理屈になるので、経済的利益は発生せず、税金は課税されない

また、「将来、土地をタダで返します(立退料なんてもらいません)」と、「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出した場合にも、税金は課税されない

想う相続税理士

土地の返還を受ける際、地主が立退料を払うのは、借地権を買い戻すためです。

その立退料が発生しないということは、借地人が借地権を持っていない(ゲットしていない)、ということになるので、経済的利益も発生していない、と考えるのです。