【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税申告における相次相続控除の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税申告における相次相続控除の人的要件について、お話します。


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相次相続控除とは?(ザックリ説明)

Aさんが亡くなり、Bさんがその財産を相続により取得し、相続税が出るとします。

そのAさんが過去10年以内に、Cさんの死亡により財産を相続により取得し、相続税を納付している場合、今回のAさんの相続財産の中には、AさんがCさんから相続した財産も含まれているかもしれません。

そうすると、同じ財産に対して短期間(10年以内)に何度も相続税が課税されることになり、相続税の負担が大きくなってしまう、と考えられます。

そこで、このような場合には、その相続の発生の間隔等も考慮し、今回のAさんの死亡による相続税を安くしてくれる制度があります。

それが「相次相続控除」です。

「『相次』いで『相続』があった場合の相続税の『控除』制度」です。

どちらも相続人として相続しないとダメ

相次相続控除に関する相続税の条文を見てみます。

相続税法(一部抜粋加工)
第20条 相次相続控除
相続(被相続人からの相続人に対する遺贈を含む以下この条において同じ。により財産を取得した場合において当該相続(以下この条において「第二次相続」という。)に係る被相続人が第二次相続の開始前10年以内に開始した『相続』(以下この条において「第一次相続」という。)により財産を取得したことがあるときは、当該被相続人から相続により財産を取得した者については、第15条から前条までの規定により算出した金額から、当該被相続人が第一次相続により取得した財産(当該第一次相続に係る被相続人からの贈与により取得した第21条の9第3項の規定の適用を受けた財産を含む。)につき課せられた相続税額に相当する金額に次の各号に掲げる割合を順次乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。

「相続(被相続人からの相続人に対する遺贈を含む)により財産を取得した場合において」とありますが、これは「BさんがAさんの相続人でなければならない」ということを意味しています。

BさんがAさんの相続人ではないけれども、遺言で財産をもらった、というような場合には、相次相続控除は適用されません。

「当該相続(以下この条において「第二次相続」という。)に係る被相続人が第二次相続の開始前10年以内に開始した『相続』(以下この条において「第一次相続」という。)により財産を取得したことがあるときは」とありますが、これは、AさんがCさんの死亡により財産を取得したときのことを指しており、この『相続』には、出だしの「相続(被相続人からの相続人に対する遺贈を含む以下この条において同じ。)」が適用されます(「以下この条において同じ」だからです)。

つまり、これは「AさんがCさんの相続人でなければならない」ということを意味しています。

一次相続・二次相続も、財産を取得した方が相続人であることが要件なのです。

どちらかが相続人ではない場合には、相次相続控除は適用できません。

相続放棄をしたら相続人でもダメ

相続税法基本通達(一部抜粋)
20-1 相続を放棄した者等の相次相続控除
相続を放棄した者及び相続権を失った者については、たとえその者について遺贈により取得した財産がある場合においても、相次相続控除の規定は適用されないのであるから留意する。

相続人が相続放棄をしても、遺贈(遺言・生命保険金等)なら相続財産を取得することができますが、その場合には、相次相続控除は適用できません。

想う相続税理士

まず、10年以内に一次相続が発生していないか、確認しましょう。