【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税申告における相次相続控除の計算方法

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告における相次相続控除について、お話します。


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相次相続控除の趣旨と仕組み

短期間に相続が続くことで、同じ財産に何度も相続税が課税されることにより、相続税の税負担が重くなってしまうことを緩和するために、10年以内に2回以上相続があった場合に相続税を減額する「相次相続控除」という仕組みがある

これは、今回の相続に係る亡くなった方が、前回の相続で納付した相続税の一部を、今回の相続に係る相続人の相続税から控除する、という仕組みである

下記の【前提】に当てはめると、太郎右衛門が亡くなった時に太郎が納付した相続税の一部を、太郎が亡くなった時に弘が納付する相続税から控除する、ということになる

弘が太郎から相続した財産については、既に太郎右衛門からの相続の際に太郎が相続税を納めている場合があり、その場合、短期間(10年以内)に同じ財産に重ねて課税するのはコクなので、税務署が「もう前に相続税を払ってもらってますんで、今回はその分を減額しますよ」という仕組みを用意している

相次相続控除額の計算方法

【前提】

太郎右衛門(祖父)

一次相続
(1回目の相続)

太郎(父)

二次相続
(2回目の相続)

弘(長男)
※他に財産を取得したのは、隆(次男)・明(三男)

弘さんが太郎さんの死亡に伴う相続税申告において適用を受けることができる相次相続控除額

①×②×③×④

①:A
②:C/(B-A)
※②>1のときは1
③D/C
④(10-E)/10

A:第2次相続に係る被相続人(太郎さん)が第1次相続(太郎右衛門さんの死亡に伴う相続)により取得した財産(その第1次相続に係る被相続人(太郎右衛門さん)からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む)につき課せられた相続税額(相続時精算課税の適用を受ける財産につき課せられた贈与税があるときは、当該課せられた贈与税の税額を控除した後の金額)

B:第2次相続に係る被相続人(太郎さん)が第1次相続(太郎右衛門さんの死亡に伴う相続)により取得した財産(当該第1次相続に係る被相続人(太郎右衛門さん)からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む)の価額(債務控除をした後の金額)

C:第2次相続(太郎さんの死亡に伴う相続)により相続人及び受遺者の全員(弘さん・隆さん・明さん)が取得した財産(当該相続に係る被相続人(太郎さん)からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む)の価額(債務控除をした後の金額)

D:第2次相続(太郎さんの死亡に伴う相続)により当該控除対象者(弘さん)が取得した財産(当該相続に係る被相続人(太郎さん)からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む)の価額(債務控除をした後の金額)

E:第1次相続(太郎右衛門さんの死亡に伴う相続)開始の時から第2次相続(太郎さんの死亡に伴う相続)開始の時までの期間に相当する年数(1年未満の端数は切捨て)

数字を使った具体例

太郎さんが太郎右衛門さんの相続で取得した財産:1,000万円
太郎さんが太郎右衛門さんの相続で納付した相続税:200万円
弘さん・隆さん・明さんが太郎さんの相続で取得した財産:4,000万円
弘さんが太郎さんの相続で取得した財産:800万円
太郎右衛門さん死亡から太郎さん死亡までの期間:6年5ヶ月
①×②×③×④=16万円

①:200万円
②:4,000万円/(1,000万円-200万円)
③:800万円/4,000万円
④:(10-6)/10

想う相続税理士

Aは、相続時精算課税贈与に係る贈与税を控除した後の金額となります。

やむを得ず「相続」が連続した場合には、その相続税の負担は軽減できますが、そうではない(勝手に自分からやった)「贈与」に係る贈与税は、負担軽減の対象とはなりませんので、ご注意を。