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相続税の税理士報酬は経費になる?【相続税専門税理士が解説】

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告を税理士に依頼して報酬(料金)を支払った場合、その報酬(料金)が経費になるか、ということについて、お話します。

相続税の申告のご依頼を受けた際に、「これって経費になるの?」と質問されることがよくあります。

想う相続税理士秘書

経費とは?所得とは?

所得税の確定申告を税理士に依頼している方に不動産所得などの事業所得がある場合には、その税理士に支払う報酬(料金)は、その所得の経費になります。

「経費になる」とはどういうことかと言うと、その費用の分だけ「所得」が減る、ということです。

所得というのは、収入から経費を引いて計算します。

家賃収入が200万円あり、固定資産税や修繕費などの経費が50万円かかったとすれば、
200万円△50万円=150万円
が不動産所得ということになります。

つまり「所得」とは「儲け」です。

所得税は、この儲けに対して課税されます。

不動産所得が150万円の場合に、それ以外に税理士に支払った報酬(料金)が10万円あったとします。

この場合、不動産取得は
150万円△10万円=140万円
となります。

所得が10万円減るワケですから、「そのぶん所得税も安くなる」ということになります(「経費になる」というのを、そういう意味で皆さん使っていますよね!)。

相続税の場合には税理士に支払う報酬(料金)は経費にならない

相続税は所得(儲け)に対して課税されるモノではありません。

亡くなった方の正味の財産の金額から「遺産に係る基礎控除額」(相続税の非課税枠)を控除した残額(「課税遺産総額」と言います)に対して相続税を計算します。

ですから、経費を考慮するという計算過程は、相続税には存在しません。

ただし、所得税の課税対象が「所得」であり、相続税の課税対象が「課税遺産総額」だとすると、「所得」を減らす効果がある「経費」と同じものとしては、「課税遺産総額」を減らすものとして「債務」「葬式費用」が挙げられます。

債務や葬式費用は、正味の財産を計算する際、プラスの財産から控除(「債務控除」と言います)します。

例えば、亡くなった方に「借金」が1,000万円あった場合には、相続人の方がその1,000万円を代わりに支払うことになります。

相続で財産を取得しても、出ていくお金(借入金)も発生するのです。

3,000万円の土地を相続しても、1,000万円のお金が出ていってしまうのであれば、差引2,000万円の財産をもらったのと経済的効果は同じですよね。

ですから、相続税の申告においては、3,000万円というプラスの財産から、1,000万円の「債務」を引いて相続税を計算するのです。

税理士に支払う報酬(料金)が、この債務や葬式費用に該当する(債務控除の対象となる)のであれば、相続税の申告で経費になる、と言ってもおかしくないのかもしれません。

税理士への報酬(料金)を相続税の債務控除の対象にできるか?

亡くなった方が、生前にご自分の相続税の申告を税理士に依頼して、相続税の報酬(料金)を支払ったとします。

これは、上記でお話した「債務」になるでしょうか?

代わりに相続人の方が支払うことにはなりませんので、「債務」には該当しません。

でも、亡くなった方が生前、税理士に報酬(料金)を支払っているのであれば、その報酬(料金)の分だけ預金という相続財産が減りますから、経費と同じ効果を生むような気がしますよね。

しかし、考えるべきことがあります。

その報酬(料金)は誰が支払うべきモノか、ということです。

相続税の納税義務者は誰だと思いますか?

亡くなった方でしょうか?

違います。

財産を取得した方に相続税の納税義務が発生します。

ですから、相続税の申告を依頼するのは、相続税の申告・納税をしなければならない相続人の方などです。

その費用を生前に亡くなった方が負担していたのであれば、それは、相続人の方などが負担すべきお金を、代わりに前払いで立替てくれた、ということです。

つまり、これは「立替金」として、相続税の課税対象になります。

税理士に報酬(料金)を支払って預金が減っても、同額の立替金という資産が増えるため、結果として「課税遺産総額」は変わらず、経費効果は生じない、ということになります。

想う相続税理士

経費にならなくても、税理士に相続税申告を依頼することにより財産の評価額が下がれば、課税遺産総額を減らすことにつながるため、経費と同じ効果がありますけどね!