【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

3期連続赤字の会社の株式は相続税評価額が下がっていて贈与しやすい?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、非上場株式の評価について、お話します。


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非上場株式の株価は計算しないと分からない

上場株式の株価は、売買のバランスにより決まり、開かれた市場があるため、新聞やインターネットを確認すれば分かります。

それに対して、非上場株式は流通市場がないため(表立って売買されていないため)、株価の情報は当然なく、自分で計算する必要があります。

非上場株式の株価は、「類似業種比準価額」「純資産価額」を折衷して(混ぜっこして)算出します。

類似業種比準価額は、上場企業の株価との比較で計算し、純資産価額は、会社の清算価値(会社が解散・清算したら株主にいくら戻るか、つまり、どれだけ財産があるか)をベースに計算します。

通常、類似業種比準価額が安く、純資産価額が高いケースが多いです。

特に、昔からある会社で、過去の利益の蓄積が大きく、財務内容(資産保有状況)が良いと、純資産価額は高くなります。

ずっと赤字で配当もしていないと株価が高くなる!

類似業種比準価額は、配当・利益・純資産の3要素をベースに計算します。

ここのところずっと赤字で、当然、配当も行っていない、というような場合、上記3要素のうち、「配当」「利益」の2つがゼロとなり、(過去の利益の蓄積等で)「純資産」だけがプラス、というようになることが多いのではないでしょうか?

決算書上(申告書上)の利益(所得)が出ていても、それがコロナ対策関連の支援金や補助金などの非経常的な利益のおかげである場合、それらを控除して(ないモノとして)利益を計算しますので、「利益」がゼロになることもあります。

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配当ゼロ・利益ゼロだと、「比準要素数1の会社」(3要素のうち1つだけがプラスの会社)にカテゴライズされ、「利益も配当も出していない会社の評価について、上場企業の株価と比較して計算する類似業種比準価額をメインで採用するのはオカシイ」ということで、折衷する際の類似業種比準価額の割合を抑えて、「類似業種比準価額×25%+純資産価額×75%」で評価することになってしまいます。

金額の高い純資産価額の割合が多くなるため、評価額も必然的に高くなります。

退職金を支給しても株価は下がらない?

一般的に、事業承継のため後継者に非上場株式を生前贈与する場合、生前贈与に合わせて役員も変更し、その際に役員退職金を支給したりします。

役員退職金を支給することにより資金が社外に流出しますから、純資産価額は下がりますが、利益的にはさらに赤字になるため、「利益」はゼロのままでしょう(「比準要素数1の会社」のまま)。

対策としては、配当を行うか、退職金を支給した事業年度の翌事業年度後に、利益が出てから(「比準要素数1の会社」に該当しなくなって株価が下がりやすくなってから)贈与するなどの方法を検討することになるでしょう。

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どのように進めるかは、株価がどうなるか(会社の資産規模と退職金の金額の大きさのバランス等)によります。