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譲渡担保がある場合の相続税の申告について

相続税専門税理士の富山です。

今回は、譲渡担保がある場合の相続税の申告について、お話します。

譲渡担保とは?

譲渡担保とは、債務者(お金を借りる方)が、その担保として提供する不動産の所有権を、形式的に債権者(お金を貸す方)に移転する物的担保の一つです。

お金をきちんと返せば、所有権が戻ります。

ただし、きちんと返せない場合には、その担保提供された不動産は、債権者のモノになります。

この譲渡担保を法律的にどのように捉えるかについては、次の2つに見解が分かれているようです。

所有権的構成

貸したお金の対価として、その不動産の所有権が移転して、債権者に帰属する、という考え方です。

お金をきちんと返したら、その時にまた所有権が債務者に逆移転する、と考えます。

担保権的構成

譲渡担保を、抵当権を設定した場合と同じように、担保権を設定したものと考え、その不動産の所有権は債権者に移転せず、債務者に帰属したままだとする考え方です。

相続税ではどう考える?

相続税の申告における譲渡担保の取扱いについては、次のように定められています。

相続税法基本通達
11の2-6 譲渡担保
いわゆる譲渡担保(金銭消費貸借の担保として当該担保物の所有権を移転したもの又は債務金額によって買戻しする特約のあるものをいう。)については、原則として、次により取り扱うものとする
(1) 債権者については、債権金額に相当する金額を当該債権者の課税価格計算の基礎に算入し、当該譲渡担保の目的たる財産の価額に相当する金額は、これに算入しないこと。
(2) 債務者については、当該譲渡担保の目的たる財産の価額に相当する金額を当該債務者の課税価格計算の基礎に算入し、債務金額に相当する金額は控除すること。

上記の「担保権的構成」で考える、ということです。

亡くなった方が不動産の所有権を有していても、それが譲渡担保によるものである場合には、「これに算入しない」、つまり相続税の課税対象と考えず、貸付金としての債権金額を相続税の課税対象(金銭債権)として相続税を計算します。

逆に、債務者が亡くなった場合には、その不動産を相続税の課税対象に含めなければならず、その代わりに、借りているお金(債務)については、当然債務控除の対象になる、ということです。

想う相続税理士

お金が返せなくて、譲渡担保が実行された場合の取扱いについては、こちらをご覧ください。
参考 譲渡担保が実行された場合の課税関係国税庁