【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

地下にトンネルがある土地の相続税評価額

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告における地下にトンネルが通っている土地の評価について、お話します。


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「ずい道」って何?

国土交通省HP(一部抜粋加工)
質問
トンネルと隧道(ずいどう)の違いを教えてください
回答
トンネルと隧道(ずいどう)の呼称については、呼び方に違いはありますが、同じ意味であり、違いはありません。
古くは、「隧道」と呼ばれていましたが、最近では、一般的に「トンネル」と呼ばれることが多くなっているようです。

「ずい道」「トンネル」です。

トンネルを通すということは、地下を利用する、ということです。

この地下を利用するための権利を「区分地上権」と言います。

民法(一部抜粋)
(地下又は空間を目的とする地上権)
第二百六十九条の二 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
2 前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。

区分地上権が設定されると、土地の利用が制限されます。

つまり、土地の利用価値が下がります。

相続税における財産評価においても、それは加味されます。

トンネルが通っていると7割評価が可能

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
27-4 区分地上権の評価
区分地上権の価額は、その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、その区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権の割合」という。)を乗じて計算した金額によって評価する
この場合において、地下鉄等のずい道の所有を目的として設定した区分地上権を評価するときにおける区分地上権の割合は、100分の30とすることができるものとする。

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
25 貸宅地の評価
宅地の上に存する権利の目的となっている宅地の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
(4) 区分地上権の目的となっている宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から27-4《区分地上権の評価》の定めにより評価したその区分地上権の価額を控除した金額によって評価する。

区分地上権は、「土地利用制限率を基とした割合」を基に計算するのですが、トンネル所有目的の場合には「30%」とすることができるため、土地の所有者は7割評価(70%=100%△30%)が可能です。

地下にトンネルが通っていることに気づけるか

トンネルは目に見えません。

評価減を適用するためには、財産評価をする上で、その土地の地下にトンネルが通っていることに気づけるかどうかがポイントとなります。

(税理士が)気づくチャンスとして考えられるモノをリストアップしてみます。

現地調査や住宅地図の確認(局所的ではなくバードビュー的な周辺の状況確認)

お客様との会話(同居されていない相続人の方は知らない可能性有)

土地に関する書類(限定せずに書類を見せてもらう)

通帳の入金(補償金等)

確定申告(譲渡所得等)

全部事項証明書(設定登記)

土地の公図(分筆)

想う相続税理士

倍率方式により評価する場合、既にトンネルが通っていることが固定資産税評価額に織り込まれているときがありますので、二重に評価減しないよう、ご注意を。

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
25-2 倍率方式により評価する宅地の自用地としての価額
倍率地域にある区分地上権の目的となっている宅地又は区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の自用地としての価額は、その宅地の固定資産税評価額が地下鉄のずい道の設置、特別高圧架空電線の架設がされていること等に基づく利用価値の低下を考慮したものである場合には、その宅地の利用価値の低下がないものとして評価した価額とする
なお、宅地以外の土地を倍率方式により評価する場合の各節に定める土地の自用地としての価額についても、同様とする。