【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税の知識がないことは相続財産の計上もれを引き起こした正当な理由になる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告に関して、相続税についての知識がないことや、それに伴う誤解が、「国税通則法・第65条・過少申告加算税」及び「国税通則法・第66条・無申告加算税」「例外規定」に該当するかどうかが争われた事例について、お話します。

こちらもご覧ください。

想う相続税理士秘書

体調が非常に悪いことは期限までに相続税の申告ができない正当な理由になる?

ザックリ言うと、申告もれや無申告になった原因が、「正当な理由」と認められれば、過少申告加算税や無申告加算税は課税されないのですが、相続税についての知識がないことや、それに伴う誤解が、その「正当な理由」に該当するかどうかが争われました。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


相続財産として計上するのが「もれて」しまった財産とは?

このケースで争点となったのは、次の3つです。

出典:TAINS(F0-3-828)(一部抜粋加工)
令04-04-12裁決

  1. 生命保険契約に関する権利
  2. 預り金
  3. 車両

想う相続税理士

生命保険金の計上もれもありましたが、それについては納税者は争いませんでした。

相続財産として計上しなかった理由

納税者側は、

本件各財産が申告漏れとなった理由について、①生命保険契約に関する権利については、被相続人が負担した保険料を手当と考えていたこと、②預り金については、被相続人の生活費等に充てるために同人の預金から出金したものであること及び③車両については、被相続人の通院等のために使用したものであることから、いずれも相続財産であると認識していなかった

とし、

故意によるものではないから、当初申告が過少申告となったこと又は期限内申告書を提出しなかったことについて、本件各規定に規定する「正当な理由」がある

と主張しました。

「生命保険契約に関する権利」というのは、亡くなった夫が保険料を負担して、生命保険を妻に掛けていた、というような保険契約のことです。

亡くなったのが夫であれば、「被保険者=妻」の(妻に掛けられている)生命保険契約があっても、死亡保険金は支払われません(被保険者である妻が死亡していないので)。

しかし(保険事故が発生していなくても)、その生命保険契約自体には価値があります。

保険契約は、(途中でも)解約するとお金になるのです(解約返戻金を受け取ることができます)。

夫が死亡した時点における、その解約返戻金の金額が、相続財産として計上する金額になります。

相続でその生命保険契約を取得した方は(保険を引き継いだ方は)、その解約返戻金相当額の財産を取得した、ということになります(実際にすぐに解約すれば、そのお金を受け取ることができるのですから)。

生命保険契約に関する権利は、計上もれしやすい財産です。

想う相続税理士秘書

裁決書を見ても詳しくは書いてありませんが、預り金については、亡くなった方の生活費・医療費に充てるために出金したものの、実際には使わなかった(ご遺族のお手元にあった)、ということだと思われます。

故意でないことは「正当な理由」にならない

故意でなかった(わざと財産を除外したワケではなかった)、つまり、知らなかった(相続税の知識がなかった)、財産計上の判断基準を誤解していた、ということは、「正当な理由」とは認められませんでした。

過少申告加算税又は無申告加算税は、過少申告又は無申告による納税義務違反の事実があれば、原則として課されるものであるから、本件各財産が申告漏れとなったことに故意があったか否かは、過少申告加算税又は無申告加算税の賦課決定についての判断を左右するものではない。したがって、請求人らの主張には理由がない。

請求人甲、請求人乙及び請求人丙の当初申告が過少申告となったことについて、通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」があると認められず、また、請求人丁が期限内申告書を提出しなかったことについて、同法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」があると認められない。

したがって、過少申告加算税及び無申告加算税の各賦課決定処分は適法

とされました。

想う相続税理士

相続税の申告は、税理士に依頼しましょう。