【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

死亡直前に引き出された4,000万円はどこに消えた?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、ある裁決において、相続人の誰もが知らないと主張する死亡直前に引き出された4,000万円の現金が、相続税の課税においてどのように取扱われたか、ということについて、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


相続直前に多額の出金があったら?

出典:TAINS(Z999-5168)(一部抜粋加工)
J18-4-01
昭和48年分相続税、昭54-06-21裁決

概要
亡くなった方は、相続開始直前に4日連続で、普通預金口座から毎日1,000万円ずつ計4,000万円を引き出した

相続税の申告において、この4,000万円については関係させていない

相続人の全員がこの4,000万円については何も知らず、税務署に指摘されて初めて知ったと主張している

他があり得なければ消去法でアウト

当時被相続人あるいは、同会社において本件手持金のような大きな金額については、これを1度に費消するような支払原因は全く思い当らず、同会社の従業員等に対してもこのような大きな額の金員を支払うべき事情はなく、また支払った形跡もないものと認められる。

被相続人の預金払い戻しから相続開始までの間における被相続人の財産及び債務の異動状況についての当庁の調査及び当庁が原処分関係書類を調査したところによれば、次の事実が認められる
新に資産を取得し、それに対する支払いをした事実は見当らないこと。
B 被相続人が当時高額物品の講入その他多額の支払を要する役務あるいはサービスを受けたような事実は見当らず、また、株式会社I及び被相続人が本件手持現金に相当するような負債を有していた事実は請求人は知らされておらず、かつ、その資産状況に照らし、そのような隠れた負債もないものと認められる。
C 本件手持現金について請求人の知らない相手方に貸付をした事実についてもその形跡は見当らないこと。
D 本件手持現金に相当するような租税公課等の支払いをした事実もないこと。

以上により、手持現金は申告した356,650円以外にはなかったとする請求人の主張は信用することができず本件手持現金は、相続開始時における手持現金と認めるのが相当であるから、請求人の主張には理由がない。

亡くなった時に、手許に現金が有ったということが直接証明できなくても、他(支払に充当されてお金が無くなった等)の可能性がないということになれば、現金があったと考えてもおかしくない、ということです。

想う相続税理士

「亡くなった方の口座から生前に出金があったが使途が不明である」という場合、かなり時間が経っていたり、金額が小さければ、分からなくてもやむを得ない(その後、費消されて本当にないかもしれない)ということで税務署が追及しないケースもありますが、相続直前だったり、金額が大きいと、税務署に「分かりません、知りません(だからその分の相続税は納めません)」と言っても、厳しく追及される可能性がありますので、ご注意を。