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相続税専門税理士㊙カード36【タワマン節税防止通達制定の背景】

現行の財産評価基本通達によるタワマン評価は安過ぎて問題

財産評価基本通達は建前上は時価評価を規定している

相続税法(一部抜粋加工)
第22条 評価の原則
この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

相続税を計算する際、財産は「時価」で評価する、と相続税法に規定されている

その「時価」については、財産評価基本通達に次のように規定されている

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
1 評価の原則
(2) 時価の意義
財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による
(3) 財産の評価
財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する。

「時価」とは、「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」であり、それは、「この通達(財産評価基本通達)の定めによって評価した価額による」と規定している

タワマンは市場価値よりもかなり安く評価されている

タワマンは、敷地と建物から構成される

その敷地(土地)と建物(家屋)の評価について、財産評価基本通達では、次のように定めている

財産評価基本通達(一部抜粋)
13 路線価方式
路線価方式とは、その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、15《奥行価格補正》から20-7《容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価》までの定めにより計算した金額によって評価する方式をいう。
(※倍率方式については省略)

「路線価×面積」ベース

財産評価基本通達(一部抜粋)
89 家屋の評価
家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額(地方税法第381条《固定資産課税台帳の登録事項》の規定により家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。以下この章において同じ。)に別表1に定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。

「固定資産税評価額×1.0」(自用家屋)

上記の流れで考えれば、この財産評価基本通達13・89を元にタワマンを評価すると、その評価額は、「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」「客観的な交換価値」「市場価値」であることになる

しかし、実際には、(タワマンも含まれる)分譲マンションの「売買実例価額」は、財産評価基本通達13・89の評価をはるかに超え、平均で2倍以上になっている

つまり、ザックリ言うと、財産評価基本通達13・89を元にタワマンを評価すると、実際の市場価値の半分以下の金額で評価することになる

タワマン節税ができないように通達を制定する

亡くなった方が1億円の現金を持っていると、その1億円に対して相続税が課税されるが、その1億円でタワマンを購入すると、評価額が5,000万円以下になり、その5,000万円以下の金額に対して相続税が課税される

まり、お金をタワマンに換えると、相続税が安くなる(さらに言えば、そのタワマンを相続後に売却してまたお金に換えられる)

これが「タワマン節税」である

令和4年4月19日の最高裁判決で、「節税目的で取得した不動産の評価について、通達評価によると実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合は、評価通達6を適用する合理的な理由があると判断」された(出典:TAINS<Z888-2406>)。

 「評価通達6」は、下記のとおり

財産評価基本通達(一部抜粋)
6 この通達の定めにより難い場合の評価
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

財産評価基本通達13・89を元にちゃんと評価しても「市場価値」と大きな開きがあるのは問題であるため、令和6年から分譲マンションの評価方法が改正される