【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

「空き家」「空室」になっている貸家は貸家じゃない?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続財産の中に、貸家がある場合の注意点について、お話します。


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貸家の価値はどれくらい?

他人に貸している貸家。

住んでいる人から家賃をもらえる訳ですから、貸家は自宅なんかよりも、高く評価されるのでしょうか?

実は、その反対で、安く評価されます。

大家さんの
権利が
失われて
いる

他人が住んでいると、その人を勝手に追い出す訳にはいきません。

借地借家法により、借主は守られています。

大家さんは、自分の建物なのに、自由に使えない、処分できない訳ですから、貸家の一部が、その借主の手に渡っているような感じです。

相続財産として評価する際にも、その借主の手に渡っている部分(30%)については、除いて計算する(安く評価できる)ことになっています。

家が自由に
使えないと
いうことは
土地も同じ

貸家の建物が、自分の思い通りに使ったり、処分できないということは、その建物の敷地の土地も、自分の思い通りにならないということです。

建物と同じように、貸家の敷地も、大家さんのモノでなくなった部分(その割合は土地の場所によって異なります)を除いて、(安く)評価します。

小規模宅地
等の特例の
適用も可能

貸家の敷地は「事業用」の宅地なので、「小規模宅地等の特例」という減税特例の適用対象となり、200㎡まで50%引きで評価(半額評価)できます。

貸家だけど人が入っていなかったら?

貸家として建てた建物でも、入居者がいなければ、大家さんの思い通りにできます。

思い通りにできるのであれば、安く評価するのはおかしいですよね。

ですから、空き家・空室の貸家については、借主権利部分を控除せず、通常の評価額(固定資産税評価額×1.0)で計算します。

その敷地の土地についても同様に、借主権利部分を控除しないで評価します。

相続の時に、たまたま空き家・空室になっちゃったら?

最近は、貸家の数が増えていて、貸したいんだけど、入居者が見つからなくて、空き家・空室になっている貸家も多いですよね。

相続の時に、ちょうど空き家・空室になってしまったら、安く評価できないのでしょうか?

法律上に
おける
空き家や
空室に
関する記述
はこれ

空き家・空室になっている貸し家の取扱いについては、条文上、次のように定められています(一部抜粋)。

租税特別措置法関係通達69の4-24の2

被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等
一時的に賃貸されていなかったと認められる部分がある場合における当該部分に係る宅地等の部分が含まれる

財産評価基本通達26

貸家建付地の評価
一時的に賃貸されていなかったと認められるものを含む

国税庁HP
の質疑応答
事例は
もっと
具体的

条文ではありませんが、国税庁HPの質疑応答事例にも記載があります。

貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲

1各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか、
2賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか、
3空室の期間、他の用途に供されていないかどうか、
4空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか、
5課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか

などの事実関係から総合的に判断

空き家・空室だから即アウト!、という訳ではないということです。

だからといって、空き室・空家でも必ずOKという訳ではありません。

空き家・空室の状況(いつから入居者がいないのか、入居募集をしているのか)等を検討し、「一時的に空き家・空室か」を判断する必要があります。

想う相続税理士

貸家の敷地に係る小規模宅地等の特例は、「事業用」の宅地であることが大前提です。

「賃貸事業としての継続性」があるかどうかがポイントです。